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ガチャ4 フレイムタンと魔弾の拳銃

 高揚した気分のまま、その場で立ち尽くしていたリュウ。しかし、いつまでもそうしている訳にもいかなかった。ここは異世界ユグドラシル。街の外はモンスターの出現する可能性がある。日が暮れる前には街に入る必要があった。


(このスマートフォン。出すときはスムーズだったが、消すのはどうすればいいんだよ。消えろと念じればいいのか?)


 リュウが消えろと念じた瞬間、スマートフォンは虹色の光を放ちながら手から消えていった。 


(なるほど。出し入れ自由というか、本当にスキルで作られるものという感じか。

 よし。スマートフォンも戻せたし、まずはガチャ神の言っていた通りに、街に向かう前にモンスターを倒して換金用の素材を用意するか。

 ……その前に戦闘に使う魔弾の拳銃、フレイムタン、雷魔法の使い方を確認しておきたいな)


 リュウは辺りを見回して手頃な的を探すが、視界に広がるのは広大な草原の緑色ばかり。しばらく考え込んだリュウはあるスキルを思い出し、折角だから試してみようと決めた。


(早速、千里眼の出番だな)


 より遠くを見ようと意識すると、先程までは見えなかった遠方の景色が鮮明に拡大されて目に写る。

 鷹はもしかしたらこんな風に見えていたのかもしれないとリュウは驚きつつ、ガチャ神の話に出てきた街のある東方面に目をやった。

 そこには2メートルほどの大きさの岩がいくつか点在しており、目標を定めたリュウはゆっくりと岩場に向かって歩き出す。


(ふぅ。結構歩いたな。疲れはしなかったけど、ここまで3000歩以上歩いたわけだから、最初にいたあの場所からここまで2~3キロはあったはず。超遠距離を狙える武器や魔法攻撃が手に入ったら……。夢が膨らむな!)


 千里眼の使い道を考え頬を緩めつつ、今やるべきことを思いだしたリュウ。

 右手でホルスターから美しい光沢を放つ銀色の魔弾の拳銃を取り出した。


(弾の装填はMPを込めるとできるんだったな。威力もMPを込める量で調整できるようだし、まずは6発の弾を装填するのに必要な最低消費MPから確認するか)


 銃身から弾倉を振り出し、6つの穴にMPを込めようと意識すると淡く白い光が弾倉を覆う。

 光始めると共に自身の中にある何かが抜けていくような感覚に陥る。リュウはMPが消費されているのだと直感的に理解した。


(長いな……)


 あれから5分経ったものの、弾が生成される気配がない。

 ……15分を過ぎたところで光が収まった。思ったよりも時間がかかったことにリュウは眉を潜めつつ、ステータスオープンを唱えた。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 リュウ

種族 人間

レベル 1

HP20/20

MP5/105

筋力 25

魔力 4

耐久 26

敏捷 24

器用 7

幸運 EX


スキル

【レアガチャlv1】

【MP増加lv1】

【身体能力強化lv1】

【千里眼lv1】

【鑑定lv3】

【 異世界言語翻訳・通訳】


魔法

【雷魔法lv1】

【サバイバル魔法lv10】


加護

【ガチャ神の加護】

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー


(……かなり疲れた上に5発しか弾が出来ていないのか。1発につき20だと! 消費MPが多すぎるな。試し射ちは1発にしておこう。雷魔法は試せないな))


 モンスターへの安全に攻撃できるであろう雷魔法を試せないことを残念に思うが、まだ魔弾の拳銃という遠距離攻撃手段があるとリュウは意識を切り替えた。

 右手でホルスターから魔弾の拳銃を取り出し、10メートル離れた先にある岩に銃口を向けトリガーを引く。

 

 乾いた発砲音が鳴り、魔力で構成された疑似フルメタルジャケット弾が螺旋回転しながら高速で打ち出される。


 岩に当たった瞬間火花を散らし、1メートルほどの奥行きのある岩に弾丸が深々と突き刺さっていた。


(途中で止まったとはいえ、岩を貫通するほどの威力を持つならば、余程の相手でなければ当てればかなりのダメージを与えられるだろう。弾の生成時間と消費MPの量がキツいから状況を考えて撃たなきゃな)


 予想していたよりも威力の高いことに満足したリュウは魔弾の拳銃をホルスターに戻し、左腰に下げられたフレイムタンの柄に手をかけた。


 剣を鞘から引き抜く。長さは80センチ。柄には滑り止めに黒革が巻かれている。幅はやや細めの紅い両刃。魔法銀(ミスリル)を惜しげもなく使われており、軽く叩くだけでもかなりの硬度があることが伝わってくる。

 しかし、流石に剣でいきなり岩を切って刃がかけてしまっては元も子もない。


(向こうに森が見えるな。岩場からかなりの距離を移動することになるが、森にはモンスターもいるだろう。フレイムタンの切れ味の確認と素材集めができるんだ。いざとなれば魔弾の拳銃もある。森の奥へは行かなければ大丈夫だろう)


 リュウはフレイムタンを鞘へ戻すと、急いで森へと駆けていく。整地されていない道であり走りやすいとは言えないが、お構いなしに突き進んだ。1時間ほど走ったところで森の前にたどり着く。

 森は適度に人が入っているようで、草や木を切り道を作った形跡が見られていた。


(フレイムタンなんてランクの高い剣の試し切り中に人に会うと面倒なことになりそうだ。道のないところから入るか)


 リュウは木が密集している所を見つけ、足を踏み入れる。

 森に入りながらフレイムタンを抜き、周囲を警戒しながら辺りを観察した。しばらくそうしていると、細い木が多い中に幹の太さが1メートルほどある試し切りに適した大きな木を見つける。

 

 リュウはまるで炎の様に紅いフレイムタンを胸の前で水平に構えて、全力で振るう。


 鋭い刃は熱したナイフでバターを切るように、太い幹を抵抗なく切断した。


 呆気にとられたリュウだったが、斬った時の衝撃で木が倒れようとしていることに気がつき慌てて後ろへ下がった。


 避けたと同時に斬った木の上の部分が他の木にぶつかりながら大きな音を立て倒れており、巻き込まれれば大怪我をしたことだろう。

 リュウは何事もなく避けられたことに安堵し、溜め息を吐いた。


(危なかったな。まさかこんなに太い幹を両断できるとは思わなかった。俺の技量なんて無いも同然。フレイムタンの切れ味の良さが要因だろう。炎を纏わせたらどうなるか。楽しみだな)


 リュウがフレイムタンを眺めて炎を纏った時の威力をイメージしていると同時に刃が炎で包まれた。


(具体的にイメージするだけでも炎を纏えるのか!便利だな。じゃあ、折角だから切れ味をさっき斬って出来た切り株で試すか)


 炎揺らめく魔法銀製ショートソードを上段に構え、縦に振り降ろす。フレイムタンを握る手には抵抗を全く感じさせない。


 断面を燃やしながら切り裂いて、切り株に留まらず地面まで深々と刃が埋まっていた。

 剣が長ければもっと深く地面に切り込み跡をつけれただろう。

 

 恐ろしいほどの切れ味だった。


(フレイムタンもかなり強い武器に違いない。…おっと。森が燃えてしまうところだった。火を消そう)


 フレイムタンで斬った切り株が燃え上がり始めたため、消火するために土を多目にかけると火が収まった。


 フレイムタンは炎を纏わせると強力だが森では使いづらい。リュウがそう考えていると、茂みの方から枝を踏む音が複数聞こえた。


 リュウが茂みの方を注意深く様子を伺っていると、緑色の肌をした身長150センチほどの醜い顔の怪物が3体確認できた。

 いずれも棍棒を持っており、周囲に異常がないか確認するように首を左右に動かしながら、リュウのいる場所へと近づいてきている。

 

 相手の姿からモンスターの名前はすぐに浮かんだが、リュウはステータスを見るために1体に鑑定を行った。


ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

名前 ゴブリン

種族 小鬼族

レベル 5

HP30/30

MP2/2

筋力 16

魔力 2

耐久 12

敏捷 10

器用 5

幸運 3


スキル

魔法

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

(ゲームなんかのゴブリンは知性のないタイプがほとんどだったはずだか、こっちのやつはそうでもないのか?まるで斥候のような動きじゃないか……。

 枝を踏んで音なんて鳴らしている時点でそれはないか。指示している奴がいるのか?

 まぁいい。近くにあいつ等以外はいなさそうだ。さっさと倒して死体を回収し、撤退しよう)

 

 リュウは先手必勝とばかりに魔弾の拳銃を構え、茂みの間から再びゴブリン達の姿が目に写った瞬間に撃てるよう、トリガーに指をかけ息を潜めた。

次回は初戦闘に!

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