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ライトノベル作家は結婚できないのだろうか?  作者: 間川 零御
2章 シュヴァルツシルト
18/23

夜の光を眺めて




「なあ、何の話してたんだ?」


 俺は助手席に座っている躑躅に尋ねた。


「・・・・今回は聞くのね」

「今回ってどういう意味だよ?」

「覚えてないのならいいわ」


 窓の外の明るい光を彼女は眺めている。

 彼女はあの時の会話を思い返していた。




「卯月ちゃんはどうしたいの?」


 2人きりになって初めての会話は彼のお姉さんからだった。


「どういう意味ですか?」

「そのままの意味よ」


 お姉さんは変わった人なのだろうか。自称神様の時点で確定だとは思うが・・・・。


「お嬢ちゃんには難しかったかしら?」


 何がお嬢ちゃんだ。


「簡単に言うと、あなたはなぜ織の中から出たのかしら」

「・・・・」


 どうやら私はこの人を見くびっていた。もはや見くびるなどの問題ではないのかもしれない。


「私ね、神様だから卯月ちゃんの考えてること分かっちゃうの」


 サイコ。彼女がそうであってほしい。けれど、私の願いは届かない。いつだってそうだ。


「卯月ちゃんってくどい考え方するわね。そんなことだから友達ともうまくいかなかった。一番は家族ね。あなたは逃げた伯父さんをうまく使って自分の存在を主張しているだけの子供」


 外へ出ると日が沈みかけていた。


「別にそんなことは考えて無いわ」

「嘘」

「嘘じゃない」

「嘘」

「嘘じゃないわ!!!」


 嘘じゃない、嘘じゃない、嘘じゃない・・・・・。


「嘘じゃ・・・・嘘じゃないわ・・・・」

「・・・・あなたはそのままでいいの?近いうちにあなたは伯父さんと再会する。その結果、家族と揉めて世間にも影響が出るわ」

「・・・・何でそんなこと」

「卯月ちゃんの叔父さんは、自分の存在と隠し子の存在をそろそろ明かすんじゃないかしら?」

「何を根拠に」

「私は神様なの。何でもお見通し。1か月前、卯月ちゃんに手紙が届いた」


 私はその話を聞いて全身が凍り付く。その話は私自身しか知らないからだ。


「その手紙には伯父さんが生きていたこと、それにあなたは隠し子だったことが書かれていた」


 彼女は本当に神様だ。


「・・・・そうよ」

「ようやく認めるのね・・・・さあ、車に乗って」


 私は助手席に乗り込んだ。

 お姉さんはエンジンを掛け車を発進させた。神様なので道案内は必要ないらしい。迷いもなく道を進んで行く。


「神様でも分からないことがあるのよ。あなたは今後はどうしたいのかしら」

「神様は未来のことが読めるんじゃないのかしら?」

「人間が行動すると、そこでは必ず他の人間の行動によって左右される。その人間も他の人間に左右されていく。このようにして人は人に干渉を与え続ける。そんなんじゃ複雑すぎて未来がどうなるかなんて分からないわ」


 神様の考えることは訳が分からない。聞いた私が馬鹿だった。


「それで、どうするつもりなの?」

「・・・・私の存在はどんな手を使ってでも消されるわ。テレビ局、ネット、報道記者、今の時代は情報が溢れすぎて操作もしやすい。それを使って卯月躑躅は消されるでしょうね」

「今の家族、形だけの家族で、実は隠し子だった子を育てていたともなれば金を使ってでもそれは消されるわね。流石は一流企業の社長ね」


 ただ・・・・・


「隠し子だけでは済まされない」

「ええ、その通り。私のことを調べていく内に、いずれかはあの時間に辿り着く」

「高校時代ね」


 車の外に浮かんでいた太陽は、完全に暗闇に囚われた。




「なあ、なあ躑躅」

「何かしら?」


 運転をしている彼に、夜のライトが吸い込まれては消えていく。




1か月以上ぶりの投稿となりましたすみませんでした!新作の方を溜めてました。まぁ、それだけでもなく普通に忙しく書く暇がなかなか取れれないもんで・・・・

前回のあとがきにあと2つでこの章が終わる的なことを書きましたが、今回もああわせて3つになりそうです。あと2つは年内に出す予定ですので待ってね

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