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灰
ミナモがいた場所には、小さな一匹の猫が横たわっていた。
私は氷のように冷たいその身体を拾い上げ、ギュッと抱き締めた。
「なにが……『キリングエッジはヒトを殺さない』だ……」
視界がぼやけ、また悲しみが溢れてきた。
「ミナモはあんなにも『ヒト』だった……」
私はミナモという『ヒト』を消したじゃないか。
「イレギュラーを消すのが、こんなに辛いと思ったのは、はじめてだ……」
私が抱いていたはずの猫の遺骸は、サラサラとした灰になって私の腕からこぼれ落ちていった。
ミナヅキミナモは消え去った。