時計
この世には一体いくつの時計があるだろうか。
長針は短針に何度も追いつき追い抜く。
長針が短針と重なると、
どこかにいる、
選出された誰かのなにかが終わり、
人々は目がおかしくなり、
太陽が人々の視界から消え失せる。
世界が瞬間的に休止する。
それは死ではないが死に似た時間。
誰も気づいていない。
しかしその時計は確かに存在し、
その時間も確かに存在している。
そして12時にだけ太陽は本当に消え、
人々に破滅を警告する。
長針がなくても時計は機能しない。
短針がなくても時計は機能しない。
それは、役に立たないただのガラクタ。
どちらも止まれば早く電池を交換した方がよい。
特に太陽が時計に見向きもせずに狂い燃えている時代には。