3話
暫く時系列的にいきます
7月28日、対馬沖に停泊していた韓国海軍の駆逐艦KDX2級の1隻が北九州市に向けて多数の天龍巡航ミサイルを発射、北九州市内に着弾し、多数の死者が発生、金孫元大統領は攻撃終了直後に日本国政府向けに停戦合意と山口北部と福岡県の3割、そして対馬の割譲を要求した。
一方、反撃の拠点、築城基地では・・・・・・
飛行教導隊出身の本川二佐以下16名のベテランパイロットと8名の精鋭が同基地で最も広い会議室でブリーフィングを終え、彼らの愛機に向かった。
24機の内、半数は従来型戦闘機とは異なり、明らかにステルスを意識した形状で、機体の下方側面には可動式のウェポンベイが装備されていた。
その戦闘機の名はF-35AJライトニングと言い、統合打撃戦闘機計画により設計された多目的戦闘機で、極めて高い空中戦闘能力とセンサー、そして対地上、洋上攻撃能力を兼ね備える次世代戦闘攻撃機である。
「我々の任務は対馬空港に設置された対空防衛施設を攻撃する事にある」
本川がそう言うと築城基地に所属する12機のF-35と合わせて12機のF-2及びF-15に隊員たちは乗り込み、次々と滑走路へ向かった。
作戦内容は巡航ミサイルを発射したと思われる駆逐艦広開土大王を撃沈し、今朝のミサイル攻撃の報復を行うと言う物と対馬上空で空戦を行い、一時的に制空権を奪い返すと言う物である。
壱岐上空に接近すると韓国軍のF-15K、KF-16戦闘機計30機が我が攻撃隊を迎撃すべく対馬空港から飛来した。
だが、既に日本側は九州本土で対馬方向を警戒していたE-767早期警戒管制機から迎撃隊接近の報を受けており、18機がAAM-4を搭載していた。
E-767の報を受けた我が攻撃隊の護衛を務める18機の内、まず各2機のF-35とF-15、F-2がAAM-4Cを放ち、先制攻撃を仕掛けた。
「ファルコン1!!フォックス1!!」
北見がそう叫ぶと彼の愛機からAAM-4が目標へ向かう。
「アロー3!!フォックス1!!」「ハンター1!フォックス1!」
彼の僚機である合計6機のF-15及びF-2、そしてF-35がAAM-4を次々に放ち、中隊と同数のミサイルが目標に向かう
AAM-4Cは前途の(プロローグ及び1、2話に登場した)AAM-4の発展型で、射程も命中精度も世界トップクラスである。
6発のAAM-4の内、3発は明後日の方向へ飛翔していったが、AAM-4Cは鹵獲防止の為に目標から一定距離離れると自爆する様になっていた。
しかし3発は見事命中し、迎撃戦闘機隊の内、3機が戦闘前に撃墜され、更に第2射目で2機が撃墜されたが、暫くすると格闘戦へ突入した。
「ファルコン1!!フォックス2!!」
北見がそう叫ぶと彼の愛機の上方45度にいたF-15Kに向けAAM-5を放った、AAM-5と照準器一体型ヘルメットは相性が良く、フル活用した場合は正面方向以外に上方向と左右に各165度の攻撃範囲を有している。
AAM-5は見事にF-15Kの胴体に直撃し、同機を引き裂いた。
「ファルコン1、敵機撃墜!!」
北見はそう報告する一方、脱出した気配の無かった敵の冥福を祈った。
そう、北見を含めた戦闘機操縦士はいつ戦死するかわからない為である。
敵を撃墜した直後、北見はE-767からE-737の存在を伝えられ、彼はE-737に向けてAAM-4を放つチャンスを探してAAM-4を放った。
E-767に誘導されたAAM-4はE-737に見事向かっていったが、その直後に福岡市上空を警戒中だったE-2が撃墜されている。
E-737の撃墜には成功したが、自衛隊はE-2を失った。
そしてE-2が撃墜された直後、未改修型のF-15JとDJが各1機撃墜されて、3名が戦死する被害を出したのである。
空戦の混乱に乗じて本川が率いる攻撃隊の計8機のF-35とF-2が放ったASM-3はKDX2級を大破させたが、帰路で壱岐島上空を通過した際に本川の乗るF-35含む3機のF-35が計5機のF-15KとKF-16の決死的な近接格闘戦で撃墜されたが、残ったF-35とF-2は即座に応戦、相手を2機撃墜する戦果を挙げたが、隊長は戦死し、戦術的には敗北であった。
それ故今回の戦闘の損失は日本側のほうが大きかったともいえた