1話
遂に空戦のシーンが始まります
日本側がミサイルを放とうとしていた頃、韓国側の部隊は26機の内、8機が爆撃体制に入り福岡市の象徴である博多ポートタワーや福岡県庁舎に向けてAGM-82ことSLAM対地ミサイルを放った。
「作戦第一段階完了、これより第二次攻撃作戦を発動する!」
F-15SEKを率いる盧大佐がそう言った瞬間、爆撃照準士と彼は脱出する間も無く愛機諸共砕け散ったのである。
そして暫くすると護衛のF-16とF-15もそれぞれ1機が撃墜され、彼らは日本側の邀撃隊が上がって来た事をようやく悟ったのだ。
日本側の編隊は次のミサイルを発射する準備を終え、発射体制に入った。
「博多ポートタワーが・・・・・・くそ!!」
博多生まれの宮木三尉が燃え盛る博多ポートタワーを赤外線追尾装置(IRST)で視認して呟いた。
そして次の瞬間、声に鳴らない怒声を上げ、自分の怒りの感情に支配されながら宮木はAAM-4のトリガーを引いた。
その直後、韓国空軍のF-15KがAIM-120を放った。
暫くするとミサイル接近中を知らす警報音が鳴り響き
「敵編隊からミサイル発射を確認、各機、ブレイク!」
北見がそう言うが、1機のF-15が撃墜されたのである。
「ハンタ-2、脱出しま・・・・・・うわぁあああ!」
ハンター隊2号機は被弾し、コントロールを失いながら地上へ落下する。
なお、操縦者である琴原一尉が落下傘で脱出する姿は無かった。
(琴原・・・・・・お前の仇は俺が討ってやる・・・・・・)
空を仰ぎながら琴原の同期である北見一尉が誓った。
「ハンター1!!フォックス1!!琴原の分も食らいやがれ!!」
そう叫びながら北見のF-15が放ったAAM-4はF-15Kを見事撃墜するが、そのF-15Kの僚機であるF-15Kが放ったAIM-120がハンター中隊4号機を操縦士諸共撃墜した。
「クリップ(本島三尉のTAC名)が撃墜されました!!」
宮木がそう報告すると北見のF-15の操縦室に警報音が鳴り響き、北見は回避を試みようとするが、ミサイル発射後の隙を見て視程内戦闘に持ち込む事に成功した3機のF-15Kの内、2機がピッタリと北見のF-15の後ろにくっつき、サイドワインダーを放って彼を撃墜しようとしていた。
「オリオン1!!フォックス2(赤外線ミサイル発射コード)!」
北見がフレアを放とうとリリースボタンに手を掛け様とした次の瞬間、北見のF-15の操縦室から警報音が鳴り止み、北見は一瞬唖然とした。
「落とされそうなになるとは情けないぞ、飛行隊長さん!!」
北見に対して鷲野一尉がそう言った。
鷲野と鷲野の僚機である原木元雄二尉が北見のF-15を狙う2機のF-15KをAAM-3で撃墜し、北見の窮地を救ったのである。
「お前か・・・・・・助かったぜ・・・・・・」
「あぁ、だが、油断してる暇は無い事理解してるよね?ブレイク!」
鷲野がそう言うと彼女は自分の目の前にいたKF-16に対し反航戦を挑み、AAM-3でKF-16を撃墜し、一気に離脱した。
韓国空軍の攻撃隊は離脱するか、もしくは燃料不足で墜落した機体もあったが、パイロット等が住民に撲殺される可能性を踏まえ、陸自隊員達が撃墜された敵機の搭乗者の位置をすぐに把握し、保護した。
ともかく、初日の攻撃は失敗に終わった。
日本側は初日の空戦で2機のF-15を失ったのに対して、韓国軍は3機のF-15SEKと2機のF-15E、2機のF-16を失った。