17話
潜水艦発射型対空ミサイルはドイツでは実現しているらしいですね。
いかづち、いなづまと敵艦乗員を救助は某艦隊決戦ゲームでも述べられていたあの実話を元にしています。
きぬがさCIC
「目標、敵イージス艦、SSM―3諸言入力完了、撃て!」
砲雷長本野2佐の命令の直後、砲術士官の一人がそう叫ぶときぬがさが第1と第2煙突の間に搭載しているSSM―3発射管から4発のSSM―3が飛翔し、他の艦からもSSM―3やSSM―1、SGM―82が目標である韓国艦隊に向けて発射されたのである。
韓国海軍・イージス艦西厓柳成龍CIC
「敵艦隊より高速飛翔物体多数!!これより迎撃する!!」
砲雷長がそう叫ぶと前後のVLSから多数のSM―2が放たれ、海上自衛隊の護衛艦隊が放った対艦誘導弾を迎え撃つべく目標へ向かう。
KDX2、4、もう1隻のイージス艦である栗谷李王耳もSM―2を一斉に放ち、続いてESSMを放ち、迎撃をより確実にしようとする。
数分の沈黙がCICを包み込んだ。
「時間です、44発中、11発の撃墜に成功、残り33発は依然接近中!」
砲術曹長がそう報告した次の瞬間、九州北部占領第2支援艦隊の旗艦である空母漢江の舷側に巨大な水柱が上がったのである。
「駆逐艦楊万春より入電、敵潜による雷撃時の音を観測す、これより対潜戦術行動を行う!!との事です!」
「くそ、敵は空中と水上からの攻撃に加えて、水中にも居やがったか!!」
艦隊次席司令官でもあった全慶正大佐(艦隊主席幕僚)は焦りだした。
潜水艦ひりゅう指揮所
「敵さんは焦っていますな・・・・・・潜望鏡降ろせ、潜航!」
潜望鏡を一瞬だけ覗き、艦長の北村2佐がそう命じた。
北村2佐はわずか35歳にして初艦長にしてそうりゅう型の中でも最新鋭で最大のひりゅうの擬装員兼初代艦長を任命された優秀な潜水艦乗りである。
彼は防衛大、赤レンガと首席で卒業、潜水艦畑に入り、潜水学校でも首席をキープし続けた同期期待の星と言える男だ。
「駆逐艦が多数、接近してきた場合に備え囮の発射用意をしとけ」
副長兼水雷長であり、北村の同期で親友の藤原3佐が命じた。
「副長の言う通りだ、側面音響囮射出用意、ソナー、見張りは厳となせ!」
艦長がそう言うと側面に装備していた囮用発射管にアクティブソナーと同じ音を発し続ける囮が装填され、側面に向けて発射出来る態勢が整った。
「了解、数㎞前方の洋上で、敵駆逐艦が接近中です・・・・・・いかがいたしますか?」
北村はある決断をした。
「そうか・・・・・・よし、3、4番発射管にUMM―5多目的誘導弾を装填!照準方式は画像識別式、5番発射管には魚雷の空砲を用意しろ!!」
彼は敢えて多目的誘導弾を発射する様に命じた。
暫くするとアクティブソナーの音が聞こえて来て乗員達の一部は冷や汗をかいていたが依然として艦長は無表情のままである。
「3番・・・・・・って!!」
北村艦長がそう命じるとUMM―5多目的誘導弾がひりゅうの3番発射管から放たれ、ひりゅうがいた場所から20m程離れた場所から突如ミサイルが浮上したのである。
KDX1級駆逐艦楊万春艦橋
「敵ミサイル浮上!!30㎜CIWS射撃用意!」
『魚雷発射音感知、これより対魚雷防衛システムを発射する!!』
「くそ!!戦術行動に移れ!!魚雷から逃げろー!!」
艦長は魚雷に気を取られ、回避とミサイルから逃げる為にチャフを放つ。
1発はレーダーを封じるために海面に着弾し、霧を発生させ、もう1発が本命として目標たる駆逐艦楊万春に向かっていた。
『か・・・・・・艦長、魚雷音は全くありませんでした!!』
そう報告があった次の瞬間、UMM-5が艦橋構造物の中央に命中し、煙突が破壊され、期間が一瞬にして停止し、発電機も停止したのである。
一方、本隊も防空戦闘でミサイルの数を減らしたが、虎の子であるイージス艦西厓柳成龍と栗谷李王耳がそれぞれ2発のSSM-1と1発のSSM-3が命中した事で航行不能に陥り、KDX2も3隻が大破し、自沈を開始。
残っていた空母漢江は魚雷が原因で既に大破しており、釜山へ一路退却中であり、KDX4型駆逐艦2隻が護衛にあたっていた。
ミサイルを撃ち尽くしたあと、合わせて仁川級1隻に率いられた6隻の蔚山級や浦項級は海上自衛隊の前衛艦隊に所属するはつしも・たかなみ・はたかぜ級の12㎝砲級搭載艦やむらさめ、あさぎり級と交戦し、壊滅的打撃を蒙り、多くの生存者がいかづち、いなづまによって救助された。
その為、駆逐艦雷、電と同名を冠した船が2度に渡り奇跡の感動実話を作り上げた艦名を有する船として後の戦史家たちに讃えられている。
UMM-5・17式多目的潜水艦発射型ミサイル(サブアロー)
射程は25㎞と長くない上、速度もマッハ1.8と遅いが、対潜哨戒機や哨戒艦クラスの艦艇なら簡単に撃破する事が可能。
母体は航空自衛隊の04式空対空誘導弾ことAAM-5である。




