プロローグ 実戦
2017年7月12日、築城基地
ここには1975年に米軍で導入されて以降、世界の空軍で活躍を続ける最高の戦闘能力を有するF-15Jイーグル戦闘機と世界屈指の空対空戦闘能力と対艦攻撃力を有するF-2VIPPER ZERO戦闘機が配備され、空自の荒鷲達が日夜訓練を行い、領空侵犯機に備えている。
だが、この日はすでに戦時体制下に置かれ、戦闘に備えていた。
『福岡市に空襲警報発令!!戦闘機隊はすぐに出撃せよ!!』
それは支持率が低迷する韓国大統領は対馬占領で国民の支持率を高め、そして日本政府に対する見せしめとして福岡市への空襲を宣言した為である。
他にも失地回復と称し、福岡市や長崎北部の平戸島、更には山口北部の割譲や戦時賠償も要求した事もあり、日本政府は九州四国中国地方の各地を戦時体制下に置き、各地の自衛隊施設は臨戦態勢に入っていた。
「各員、これより出撃するぞ!!」
第302航空隊第2中隊長、北見誠吾一尉がそう言った。
「隊長、まさか配備されて、スクランブルもなしに実戦だとは思いませんでしたよ・・・・・・」
北見の部下で、僚機を務める宮木信平三尉がそう言った。
宮木は新米イーグルライダー故に経験豊富な北見の僚機として配属されたのである。
それに対し、第3中隊を率いるのは鷲野京子一尉で、彼女は空自初の女性戦闘機乗りであり、アラスカのレッドフラッグ演習に参加メンバーに選抜された実績のある優秀なイーグルライダーと言われている。
「第3中隊、全機離陸開始する!!」
彼女がそう言うと彼女の乗るF-15Jは強烈なエンジン音を轟かし、空へ舞いあがる。
30分後、韓国軍の12機のF-15Kと6機のF-16に護衛されたF-15SEK計8機が福岡市上空に侵入、爆撃を開始した。
一方、これらの部隊の要撃に向かう302飛行隊はF-15Jを18機と12機のF-2は福岡市上空の最南端部に到着し、AAM-4こと99式空対空ミサイルを放とうとしていた。
因みにAAM-4はA/B/C型で異なり有効射程を有し、2015年に生産が開始されたC型と言うタイプを今回出撃したF-15とF-2は搭載しているが、これは最大で170㎞、有効射程距離は100㎞と言う射程を持ち、最大射程は初期型のAで100㎞、Bで120㎞と言われている。
ついでに韓国軍の採用したステルスイーグルと言われるサイレントイーグルはF-15SEKは正面のみにステルス性を有し、それ以外はステルス性は皆無であり、在来型であるF-15E戦闘攻撃機とレーダー反射面積は変わらないと言う簡易ステルス機である。
無論、機動性については若干F-15Eよりは向上しているが、F-15CやJと比較し、高空域での機動力は若干劣る為、格闘戦性能の高いF-2相手に格闘戦に持ち込まれると不利だと言われている。
「ハンター1!(北見率いる第1中隊で、1は北見、つまり隊長を指す)、フォックス1!(レーダー照準ミサイル発射コード)」
北見一尉がそう叫ぶと彼の愛機の胴体下部からAAM-4が飛翔する。
「ハンター隊に負けてられるものですか!オリオン1、フォックス1!」
第1中隊がAAM-4を放った直後、それを見た第2小隊の鷲野が発射命令を下した。
今、まさに福岡上空の空戦の幕が開けたのである!!