15話
韓国海軍の中型空母漢江は27ktの速度で五島列島へ接近していた。
対する自衛隊は多数の艦艇と航空機を投入した制海・制空権の全面確保作戦を開始、護衛艦22隻と戦闘機54機と哨戒機27機を投入した。
9月6日14時25分韓国九州空襲艦隊旗艦・漢江CIC
「時間だ・・・・・・日本艦隊に対し対艦ミサイル攻撃を開始せよ!」
張武日提督が命じるとKDX1~4級駆逐艦と仁川級フリゲートから多数の韓国国産の高性能対艦ミサイル、海星が発射され日本艦隊へ向かう。
(これで終わりだ・・・・・・栄誉ある日本海軍はここで終焉を迎える!)
張提督はそう思っていたが、副官の宋大佐は不吉な予感に苛まれていた。
(しかし日本艦隊の節穴はあるのか?そんなはずはないな・・・・・・)
この時、韓国軍が放った対艦ミサイルの数は合計52発である。
護衛艦ながとCIC
「対空戦闘用意、敵が放った誘導弾の数は50以上と推定!!」
「何て言う数だ、第1迎撃ライン用のSM-6発射用意!撃て!!」
ながとの砲雷長がそう叫ぶとながとの甲板から合計4発のSM-6対空誘導弾が放たれ、ながとと同じスサノオシステム搭載のきい、イージス艦であるきぬがさ、あしがら、きりしま、こんごう、FCS―3搭載のあきづき型でSM-6搭載改修済みのてるづき、ふゆづきもそれに続く。
第1迎撃ラインで20発前後の撃墜が出来れば御の字、第2迎撃ラインで本来の数より1/3に減らし、最悪の場合は第3迎撃ラインで1/5にまで削り、最終防衛ラインで敵ミサイルを完全に撃滅する予定である。
だが、第1防衛ラインで撃墜できたのは15発にとどまり、残った37発が艦隊に依然として接近し続けていた。
「電子的妨害は依然として継続中!!」
あしがら、きぬがさ、きりしま、こんごう、てるづき、ふゆづきが放った第2防衛ライン用のSM―6で37発中21発の撃墜に成功するも残った16発は超低空から日本艦隊に迫っていった。
日本艦隊の輪形陣の最先頭にいた護衛艦まつゆきの76㎜速射砲が火を噴いたが、既に時遅し、韓国海軍の放った最新鋭対艦誘導弾、海星は御年33年の老朽船の船体をいとも簡単に打ち砕き、まつゆきの船体中央部で炸裂し、一気にまつゆきの船体を引き裂いたのである。
はたかぜ艦橋
「まつゆき轟沈・・・・・・現在生存者を捜索中・・・・・・」
沈痛な表情と声で旗艦、ながとへはたかぜの航海長が伝えた。
このまつゆきは海上自衛隊最初の公式戦没艦として名を連ねたが、それと同時にもう1隻の護衛艦にも悲劇が襲いかかったのである。
護衛艦あさゆき、こちらも30年物の老朽艦であり、この船のマストに海星対艦ミサイルが直撃すると巨大な火災が発生、あさゆきは戦闘能力を失い、更に火災や浸水によって浮力を喪失、応急員の奮闘虚しく、美しい五島列島の沖に没したのである。
4発のASM―3対艦ミサイルを搭載した8機のP―1と同じミサイルを翼下に計2発搭載した計12機のF―35BJ(いずもとひゅうがで半々)がそれぞれ8機(計24機)のF―15とF―2、F―35AとB(いずも搭載機)に護衛されながら五島列島の上空数㎞に到達すると一斉にASM―3を韓国艦隊に向けた放ったのである。
ASM―3の射程は200㎞近く、済州島と五島列島の海峡を航行する敵艦隊を余裕で捉える事が出来るのである。
まつゆきとあさゆきを葬った先ほどの対艦ミサイル飽和攻撃の反撃としてこちらも56発の対艦ミサイルを放ったのである。
確かに韓国軍の対空防衛網は強力であったがASM―3は最初の目標として同国海軍の旗艦的存在であるKDX―3級に狙いを定めた。
やや旧式化していたとは言え、2014年までこんごう型護衛艦も搭載していたSM-2対空誘導弾によってASM―3は42発まで撃ち減らされたが、一番先頭を飛行していた6発の内、2発がKDX―3級イージス艦である栗谷李王耳に命中し、同艦を大きく損傷させたのである。
さっき栗谷李王耳に命中した2発を含む6発に続く36発の内、19発が韓国軍の駆逐艦やフリゲートが搭載する76㎜速射砲、RAM《近接対空ミサイル》や20㎜近接防御火器、30㎜近接防御火器、40㎜連装対空砲などによって撃墜されたが、17発の内が7発がKDX2級2隻と仁川級1隻を撃破し、蔚山級フリゲート3隻と浦項級コルベットを1隻撃沈したのである。
そして最大の目標である漢江にもASM―3が迫るが、JF-17がASM―3に対し、中国製の中距離射程対空ミサイルを放ち撃墜したが、その直後、五島列島防空の為に展開していた鷲野と北見のF-15隊が迎撃の為に上がった8機のJF-17の内、6機を撃墜し、残った2機は戦術的退却を行った。
だが、陸上では韓国軍が若干とはいえ日本側より優勢な戦力を保っていた。




