9話
宣言通り自衛隊を苦戦させる事にしました。
野上隊長機以下8機の地中貫通爆弾を搭載したF-15Eは隠岐諸島上空に到着、同爆弾の投下準備に入った。
現状、最もパワフルで様々な武装を同時に多数運用可能と言われるF-15Eですら地中貫通爆弾を運用する際は同爆弾1発と自衛用のAIM-94発のみを搭載する。
「スキッパー1よりスキッパー隊各機、地中貫通爆弾投下用意!!」
「スキッパー3了解!」「スキッパー5了解!」「スキッパー4了解!」
野上2佐が爆弾投下命令を下すと8機のF-15Eが爆弾投下準備を整え、高度300mを飛行しながら、投下後の上昇に備える。
「10、9、8、7、6・・・・・・投下!」
野上らのF-15Eが地中貫通爆弾を要塞地帯のコンクリート製陣地や山中にあった謎の入り口に向けて投下すると、地中や山中に設営された通信施設や司令部設備の一部を吹き飛ばした。
だが、設営された司令部施設はこれだけではないと言う事は判明している。
コンクリート陣地や山中の入り口を破壊した8機のF-15EがF-2の護衛の元、出雲空港へ離脱した頃、残った8機のF-15Eが地上攻撃の為にJDAMを次々に放ち、地上攻撃を実施。
結果、隠岐空港はターミナルを含めて完全に破壊されたが、韓国軍の航空戦力や輸送機が破壊され、島根攻撃と言う最悪の事態は避ける事に成功した。
だが、地上には未だに多数の旧北朝鮮軍の保有していた”天馬号”や”暴風号”、旧韓国軍のK-1、そして統一前に完成したK-2戦車が大量に陸揚げされており、韓国軍は戦車だけで合計80台以上に及び、更に兵員3万人が要塞化した島々に配備されているが、彼らの多くが旧北朝鮮出身の兵士だ。
つまり、彼らは容赦どころか攻撃を始めたら完全に国際法などを無視した攻撃を行い、陸上自衛隊の上陸隊は大規模な被害を被る可能性もある。
これに対し、日本側は洋上・空中からの火力を殺到させ、出来るだけ敵の戦闘能力を低下させる必要があった。
その為にかが以下護衛艦隊が舞鶴から出撃していたのである。
ミサイル護衛艦かがCIC
「これよりポイント・オメガに対し主砲射撃を行う!」
「36度N!133度E!目標韓国軍通信塔、155㎜誘導砲弾発射用意!!撃てぇえー!」
次の瞬間、艦橋から少し離れた場所に装備されている155㎜先進砲が実戦として初めて火を噴き、誘導砲弾が目標に向けて飛翔する。
155㎜先進砲は誘導式の対地榴弾を用いた場合、150㎞の射程を有している。
現在、かがと隠岐諸島の距離は100㎞、かがにとっては充分艦砲射撃が可能な距離であり、はつしもとてるづきの搭載する127㎜多目的砲用の誘導砲弾ことExtend Range Guided Munution、略してERGMにとっても有効な射程を持ち、こんごうが搭載する54口径127㎜速射砲用のイタリア製誘導砲弾・ボルケーノの射程も約120㎞と艦砲射撃を安全な距離から加えられる。
3分するとかがの砲弾が韓国軍が占領していた電波塔を破壊し、司令部からの命令が入らなくなったが、韓国軍は多数の戦車隊を海岸に配備し、日本側の上陸部隊を返り討ちに逢わそうと画策していた。
9時20分に日本側は上陸を開始するが、上陸直後に浴びた強烈な戦車砲による十字砲火で87式偵察警戒車3台もすぐに破壊され、7名の隊員が戦死し、更に7両の軽装甲機動車が破壊され、17名の隊員が戦死。
福岡での戦車戦で奮闘した90式戦車ですら7台からの同時多重砲火を浴びてなす術も無く撃破され、日本側の兵員は韓国軍のそれを上回った。
業を煮やした陸上自衛隊の本作戦の指揮官である角原浩二1佐は輸送艦いずの会議室からかがに乗る第3護衛艦隊司令である宮本信一郎海将補に艦砲射撃を更に加える様に要請したのである。
宮本海将補はかがのAGSですぐに海岸線の韓国軍戦車陣地に艦砲射撃を加え、陸上自衛隊の90式戦車7両と引き換えに、かがから発射された対地砲弾によってK―2以下28両近くを撃破したが、陸上自衛隊は実に59名の隊員が戦闘開始直後から2時間余りで戦死させてしまった。
だが、まだまだ内陸には韓国軍戦車や歩兵が多数散在しており、日本側にとっては修羅場の入り口でしかなかった。
陸自は戦闘ヘリによる対地攻撃によって敵火力を減らし、そこから攻略をする計画を立て、陸上自衛隊のAH-64がF―35やV―22と共に養生のDDHやましろから飛び立ち、隠岐諸島へ向かっていた。
果たして隠岐諸島の奪還は成功を迎えるのだろうか?
次回で隠岐諸島を取り戻しますが、韓国軍は上陸支援中のすずなみを”あるミサイル”を使った奇策で迎え撃ち、すずなみを戦闘不能に追い込みます。




