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コイツ意外にかわいいな

 俺はナイフで削って尖らせた枝にさっき殺した鳥の羽をむしりとり、適当に分けてこれまたさっき拾ってきた落ち葉などを燃やして焼いていた。

 肉から汁がしたたり落ちる。おぉ、うまそうだ。思わず口からよだれがしたたり落ちる。

 今からお前の肉やはらわた、心臓、骨に至るまでしゃぶり尽くしてくれるわ!それをただじっくり焼かれて待っているがいいわ!

 今や肉はいい具合にこんがりと焼けていた。

 そろそろか…。肉付きのよい部分にかぶりつく。

 口の中で広がる肉の香ばしいにおいと汁。肉々しい味がしてとってもうまい。

「さすがお肉だぜ…!」

 訳のわからないコメントをしていたらあっと言う間に一本目を食べ終わってしまった。

 いやーなんといっ『グウ~』てm… ん?今のは俺じゃない。ということはアレか?何かの動物が今俺の後ろにいるってことか?えっ、うそ?なうにいるわけ?

 男・達也、ここは意を決して振り返ってやる!

 えいやっ!

 振り返った先には小さな黒オオカミがいた。



 子オオカミはひどくおなかが空いていた。これからは自分で食べ物を調達しなければならない。

 子オオカミはあてもなく歩き始めた。この前の大雨が嘘のように晴れている。

 しばらく進んでいくと肉のにおいがしてきた。それは謎の巨大な物体があったところからしているようだ。

 子オオカミは残り少ない力を振り絞って走り始めた。



 オオカミに出会ったらどうすりゃいいんだ?死んだふり?ジグザグに走って逃げる?さぁどうする俺!ところが俺の脳内のノーナイくんは俺に対してしらんぷり。

 幸いこのオオカミは小さい。しかもすごく弱っていておなかが空いているらしい。

 ふたつの琥珀色の瞳が俺を見つめる。

 …だぁぁぁ!もういいよ!肉やるよ!

 俺は全く動かないオオカミの目の前に鳥の左足をあげてみた。

 肉から手をはなすや否や肉にかぶりついた。すごい勢いで食べていく。そしてすぐに食べ終わってしまった。

 オオカミはまるでねだっているかの様に俺にすり寄ってきた。仕方なく右の胸肉をあげた。

 オオカミはガツガツと食べている。負けじと俺もガツガツ…。

 俺が食べ終わってからオオカミをみるとすでに食べ終わって骨で遊んでいた。

 俺は再び森に行こうと思い歩き始めた。

 後ろからオオカミもついてくる。ーって、なんでだよ!

 偶然方向が同じだけだろうと勝手に決めつけて歩き続けた。そうして一人と一匹は森へ歩きだした。 

 俺は黙々と森を歩いていた。すると後ろの方から「クゥ~ン」と、何かを主張するようにオオカミが鳴き出した。

「なんだよ。」

 みるとオオカミは木の幹をカリカリと爪でひっかいていた。

 何なんだ?

 何気なく木の上をみるとそこにはリンゴみたいな果物がなっていた。そういうことね。

 その果物をちぎってオオカミにやった。

 そしたらオオカミは満足そうな顔をして食べた。

 俺もひとかじり。絶妙なバランスのすっぱさと甘さがたまらない。何個かちぎってバッグに詰め込んだ。

 オオカミの頭を撫でてやった。もふもふしていて病みつきになりそうなぐらい気持ちよかった。オオカミ再び満足顔。

 コイツ意外にかわいいな。       

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