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愁さんと雅

(愁さんと雅)






「ふ、…ぅ」

室内から微かにそんな声が聞こえて、僕は扉の前で足をとめた。おいおい…呆れてため息をつく。

もうダメだな、この生徒会。




とりあえず壁にもたれかかかり、スマートフォンを起動させる。こんな状況に困惑しないのは以前にも同じようなことがあったからで、その度にいちいち反応していては身が持たないと早々に判断したからであった。

特に目をひかれるニュースもなかったので、アプリを見てみる。最近いいの出てないなあ。

時計を見れば、もうすぐ十分が経とうとしている。そろそろ大丈夫かと思い、手にしていた端末を後ろポケットにしまった。

コンコン、軽くノックをしてみる。すると中から、どこか楽しそうな声音で「はーい」と返ってきた。

「ったくねぇ、こんなトコで盛らないでくれる?」

扉を押し開きながら文句を言うと、森山は底の知れない笑顔を見せた。僕は、こいつのたまに見せるこういう顔を、怖いと思うときがある。

「悪い悪い。つい、さ」

「あっそ。ていうか水谷は?」

さっちから姿が確認できないんですが。いつかみたいに部屋の隅っこで悶え死にしているのかとも考えたが、やっぱりいない。

ちょいちょいと森山が指差した先に目をやれば、会長用の回転椅子に、水谷はくたりと横たわっていた。

「…えー…」

思わず漏れた心の声。何をどうしたらこんなことになるのか、是非教えて頂きたいものだ。

「気絶しちゃった」

「おーい」

「なんでだろうねー。酸素不足? 気持ち良すぎて、とか?」

「はいストーップ」

あははってあんた。水谷若干泣いてるし…恐らく、隠れ鬼畜な森山のせいなのだろう。可哀想に。

「…あんまり虐めんなよ」

「分かってるよ」

ふふ、と笑った森山は、とても(たの)しそうだった。






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