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始まりの日

なろうコン用に引っ張り出した、CTSの自キャラのプロロ-グです。

本来の世界観の隙間部分に設定した世界ですので、一切CTSを知らなくても話に迷うことはないとは思われます。

(むしろ、CTSの公式設定に詳しい方が迷うかもというレベルです)

青い空を横切る8本の白い飛行機雲、

レイは畑を耕していた手を止め、その白い飛跡を見上げる。

「あのどれかに、ニアが乗っているのかな?」

いつの間にか思考が言葉になっていることに気が付き思わず苦笑する。

「ホント、何だろ、最近独り言が増えた気がする。」

意識していないと自然に言葉になってしまう思考に苦笑する。

「まぁ、仕方ない、か。」

今度はあえて言葉にしてつぶやくと鍬を握りなおす。

小柄で華奢な体格のレイが持つとその鍬は大きく重そう見えるが、

レイは重そうなそぶりも見せず慣れた手つきで畑を耕し始める。

レイの双子の兄、ニアが異星からの侵略者『バグア』と戦うために『能力者』になるといって家を飛び出していってから、もう一年以上が経つ。

「便りがないのは良い知らせ、とは言うけど、」

つぶやき、手を止め、再び空を見上げる、可変戦闘機『ナイトフォーゲル』(KV)の残した白い飛跡はいつの間にか空の青に溶けるように薄くなっている。

「生きてるんだか、」

何気なく口にしようとした次の言葉は喉の奥に詰まったように出てこなかった。

「ホント、何やってるんだか。」

ため息と一緒に詰まった言葉を吐き出し、別の言葉を口にする。

「とりあえず、仕事しないとね。」

声を出して気分を切り替えると、もう一度鍬を握りなおし畑を耕し始める。

幸い、今度は思考の海に沈むこともなく作業は終わり、無事にジャガイモの植え付け作業が終了する。

「今年もみんな、元気に育ってよ。」

作業の終わった畑を満足げに見渡し、今植えたジャガイモ達に声をかける。

「ちょっと、一人で終わらせちゃったの!?」

突然背後からかけられた驚きの声に畑から目を移すと、二つの人影が視界に入る。

「楓、葵さんも、」

よく知った顔に声をかけ、手を振る。

「わざわざ手伝いに来たのに一人で終わらせちゃったの?」

畑に下りて駆け寄ってきた楓の言葉にレイは曖昧な笑顔で頷く。

「いつから畑に出てたのよ、」

レイの前に立った楓が腰に手を当てて呆れた口調で尋ねる。

「お日様が昇る少し前から・・・」

実際には、太陽が山陰から顔を出してそれほどの時間がたっていない今の時間で「日が昇る少し前から」で作業が終わるはずは無いのだが、

いつもの事なのか楓は呆れたような大きなため息を一つついただけで他の言葉を口にする。

「朝ごはんは?」

レイは首を横に振り、答える。

「まだ、これから。」

その言葉に楓は満足げに頷くと、葵の手からバスケットを奪い取る。

「母さんに頼んで作ってもらってきた、」

バスケットの中にはまだ温かいおにぎりと、魔法瓶に入った温かい味噌汁が入っていた。

「すごい、海苔巻になってる。」

畑の縁に腰を下ろし、手にしたおにぎりに海苔が巻いてあることにレイが驚きの声を上げる。

「この前、町まで行ったときに買ってきたの。

それに、海苔だけじゃないわよ、食べてみて。」

楓に促されて、口に運んだおにぎりにレイは再び驚きの声を上げる。

「これ、昆布!?」

「そうよ、すごいでしょ。」

驚きに目を丸くするレイに楓は自慢げに胸を張って見せる。

「お前が自慢することでもないだろ。」

妹の反対側で自分の分のおにぎりを口に運んでいた、葵が苦笑しながら口をはさむ。

「いいじゃない別に、減るもんでもないし、」

兄の言葉に妹は澄まして答える

「そういう問題でもないだろ。」

そんな楓の様子に苦笑しながら葵も応える

「じゃぁ、どういう問題なのよ。」

「どういう問題って…」

勝気に兄を見下ろす楓と、困り顔で妹を見上げる葵の様子にレイも笑顔になる。

「まぁ、どんな問題でも美味しければ良いじゃないですか。」

笑顔のまま言うレイの言葉に葵は少し照れたように頭をかき、

楓はバスケットから自分の分のおにぎりを一つ取り出し

「そうそう、美味しいから問題ないし。」

そう言って、手にしたおにぎりを口に運ぶ。

「!」

おにぎりを口にした瞬間、楓の表情が変わる。

「どしたの?」

そのまま、硬直する楓にレイが声をかけると、楓がおにぎりから口を離し口を開く、

「梅干しだった。」

口をすぼめて言う楓の言葉にレイと葵が声を上げて笑う。

「おばさんの梅干しはすっぱいからねー」

笑顔で言うレイに

「昆布だと思って食べると凶器だよ、」

梅おにぎりの残りを口に運びながら楓が応える。

「確かに。

おいしいんだけどね、」

そう言いながらレイも昆布おにぎりを食べ終え、梅おにぎりを手にする。

「まぁ、おいしんだけどね、

今日の主役はやっぱり昆布だから。」

梅おにぎりを食べ終えて昆布を手に取った楓が力強く宣言する。


「平和だね、」

レイと一緒に日の当たる縁側に横になった楓が空を見上げたまま口にする。

朝ごはんの後、もう一仕事してレイと楓の二人はレイの家の縁側でくつろいでいる。

お昼ご飯を食べた後、ちょうど良い満腹感と心地よい春の陽気が眠気を誘う。

「戦争、してるなんて思えないよね。」

軽く目を閉じ、瞼を透かす日の光を眺めながら、レイが応える。

目を開けば空には朝と同じKVの飛跡が見えるだろう。

「そういえばさ、葵が自警団の寄合で聞いて来たんだけど、」

体を起こし、楓が何かを思い出しレイに声をかける。

「何を?」

レイも楓と同じように体を起こして縁側に腰掛け、話の先を促す。

「山向こうの村でキメラが出たんだって。」

楓の言葉にレイは眉をひそめる。

『キメラ』はバグアの作った怪物で、それに対抗できるのは人類では『能力者』と呼ばれる一部の者達だけ、

つまりはレイ達一般人にはどうしようもない怪物である。

「そのキメラは?」

言葉に不安をにじませてレイが楓にたずねる

「私も詳しくは知らないんだけど、未知生物対策組織、ULTだっけ?、に依頼して能力者を派遣してもらったんだって。」

不安げなレイの様子とは対照的に楓は気楽な様子で答え、

出しっぱなしになっていた、お昼のおかずの漬物を一つつまみ口に放り込む。

「ご飯と一緒ならいんだけど、ちょっと塩がきついかな?」

楓は思いの外味の濃かった漬物に眉をひそる。

「うん、ちょっと多かったかも。

楓のとこのお母さんみたいにはなかなか上手くいかないよ。」

楓の気楽な様子に少し不安が払われた様子で、

レイも同じように漬物を一つ口に運ぶ。

「それで、キメラと能力者の人達は?」

少し、気分が落ち着いたレイは楓に話の先を促す

「葵の話だとキメラが出たのが5日前で依頼したのがその翌日、

次の日には能力者の人達が到着したらしいから、もうキメラは退治されたんじゃないかな。

能力者の人達も昨日にはもう帰ってたらしいし。」

レイの問いに楓は葵の言葉を思い出しながら答える。

「そっか、」

少し残念そうなレイの様子に楓が声をかける。

「ニアの事?」

「うん、何か聞けるかな、と思って。」

楓の言葉にレイが頷く。

「ニアに手紙送ったんでしょ、返事、無いの?」

楓は以前にこの村に立ち寄った能力者にレイがニアへの手紙を託していたのを思い出したずねる。

「何も、」

レイは首を振り楓の問いに答える。

「まぁ、届いてるとも限らないし、

アメリアさんは会うことがあれば渡してくれる、って言ってくれただけだから。」

努めて明るい声をだし、自分を納得させるように話すレイの様子に楓も明るく言葉を返す。

「確かに、能力者は世界中から集まってるんだものね、そう簡単には会えないかもね。

それに、届いてれば返事ぐらいニアも書くわよ。」

力強く宣言した楓の言葉にレイは苦笑を浮かべる

「けど、ニアだよ。」

レイの言葉に楓も一緒に苦笑を浮かべる。

「そっか、ニアだものね、」

そう言って、楓もあきらめたように肩を落とす。

「そう、ニアだから。」

レイも真面目な顔で楓に頷く。

二人そろってニアの過去の所業を思い出し、同時に笑い声が溢れた。


「さて、そろそろ仕事にしようか。」

ひとしきり二人で笑いあった後、レイが縁側から降り、楓に声をかける。

「そだね、ちゃっちゃと午後の仕事も終わらせちゃおうか。」

楓も答えて縁側に横たえていた体を起こす。

二人で、お昼に使った食器を流しに運び手早く片付け、午後からの仕事の話をする。

「で、お昼から何するの?」

楓が濡れた手をタオルで拭きながら訪ねる。

「とりあえず、種まき。

そろそろ準備しておかないと、苗が間に合わなくなるから。」

「了解、そうすると鶏囲いから?」

レイの答えに楓が応じる。

「そだね、あの子たちに食べられちゃうからね。」

楓が差し出したタオルを受け取り、流し脇の洗濯籠に入れながらレイも頷く。

「納屋と鶏小屋のカギは?」

「納屋はいつものとこ、鶏小屋は開けたままだから小屋の入り口。」

「了解。」

楓が応えて、勝手口の脇にかけてあったマスコットのキーホルダーがついた鍵を一つ取り、レイに放ってよこす。

それを受け取り、レイは母屋の隣の納屋の鍵を開ける。

「昔はさ、っていっても私達が赤ちゃんの頃だけど、」

納屋の戸が開き流れ出た埃っぽい空気に眉をしかめながら楓が口を開く。

「苗とかも農協とかってとこでまとめて準備して買ったりしてたんだって。」

「そうだっけ、苗屋さんがいたんじゃなかったかな?」

納屋にしまってあった板を引っ張り出しながらレイが楓の言葉に応える。

板は大きく、小さなレイの体は完全に隠れてしまう。

「そうだった気もするかも、」

レイが取り出す板の端を楓が支え二人で板を納屋の外に引っ張り出す。

「けど、どっちにしろ面倒な種まきしないで済むことは一緒だよね。」

二人で庭の一角を仕切るように板を立てていく。

「そだね、レイは種まきのために鶏よけ設置すると、鶏と一緒で向こうに行けなくなるもんね。」

杭に板を固定しながら楓がレイをからかうように声をかける。

板の高さは背の低いレイの首ぐらいまではある、これを越えるのはレイには少し面倒な高さだ。

「大丈夫、家の中通るから。」

板の固定を確認しながら、レイは真面目な表情を作って応えを返す。

板の向こう側では自由な行動範囲を狭められた鶏達が忌々しげに柵を見つめている。

「鶏は家の中通れないもんね、」

レイよりは背の高い楓は柵を乗り越えて移動ができる。

「いいよね、楓は背が高くて。」

「私が高いんじゃなくて、レイが低いの。」

言い合いながら、二人はもう一度納屋の中に入り棚からいくつかの箱を下ろして外に運び出す。

「とりあえず、土取ってくるね。」

一通り道具を外に運び出してレイが荷車を引っ張り出しながら、楓に声をかけるが、

大きな荷車に対してレイは小さく見えて、非常に危なっかしい。

「私も一緒に行くよ。」

道具を拡げていた手を止め楓がレイの手から荷車のハンドルを受け取る。

「ありがと、これだけはほんとに助かる。」

素直に楓にハンドルを渡し、レイはお礼を口にする。

「こういう作業の時に葵がいると助かるんだけどね。」

荷車を押しながら楓が今はいない兄に文句を言う。

葵は午後からは家の方の作業を手伝うので午前の作業が終わると家に戻っていた。

「確かに、こういう時は男手が欲しいよね。」

やはり、レイが持つと大きく見えるスコップを担いで荷車の横を歩きながらレイも頷く。

「機械が使えれば、葵なんか必要はないんだけどね。」

「機械?」

少し後ろを歩く形になる楓を振り返り、レイは首をかしげる。

「この前、三宅のおっちゃんとこで見せてもらった機械。

畑や田んぼを耕したり、重いものを運んだりできるんだって。」

手押し車を押しながら楓が説明する。

「大きさはこの手押し車くらいだったと思う。

他にも人が乗れる田植えの機械とかもあったよ。」

その時に見せてもらった機械を思い出しながら楓はレイに説明する。

「それがあると楽そうだね。」

畑の一角、盛り土にしてある場所で荷車を止め、

レイが持ってきたスコップを使って土を荷車に移していく。

「けどね、ガソリンで動くらしくって、今は使ってないって。」

荷車のハンドルに寄りかかって立ちながら楓が最後に思い出した事を付け加える。

「成程ね、それで使ってないんだ。」

スコップで土を移す手を止めず、レイが納得した様子で応える。

レイの体に対しては大きなスコップだが鍬の時と同様にレイは苦労する様子もなく重い土を荷車に手早く移していく。

「使うと楽なんだけど、元が取れないって嘆いてた。」

レイの言葉に楓もおっちゃんの言葉を思い出し頷く。

「ガソリンもっと安くなればいいのにね。」

「だよね、ガソリンもっと安くなれば町行くのも楽なんだけどね。」

嘆息するレイに楓も同意する、ガソリンが安くなれば色々と楽になる気がする。

「そいえば次の定期バスっていつだっけ?」

最後の土を持ち上げながらレイが楓にたずねる

「今月は、もう来たんじゃないかな?」

半分ほど土で一杯になった荷車を持ち上げながら楓は思い出すように答える

「何か用事があったの?」

楓が来た時と同じようにスコップを担いで斜め前を歩くレイに声をかける。

「大した用事はないんだけど、ガソリンの話で気になって。」

「ああ、そっか、バスもガソリンで動いてるんだよね。」

レイの言葉に納得しながら楓が荷車を広げた道具の近くに止める。

「そう考えると、月一回とはいえタダで町まで乗せてくれるバスはすっごいお得なんだよね。」

運んできた土を秤に乗せた桶に移しながら、レイはバスで実際にお金を払うとどれぐらいか計算してみる。

「なんにしろ国際平和維持機構(UPC)さまさまってことだよね。」

土の量を計るレイの姿を見ながら、

楓は道具を広げる作業に戻り、箱の中から底に所々穴の開いた四角い木枠を取り出し、

底に目の細かい網を敷き地面に並べていく。

「ホント、さまさまだね。」

レイは計り終えた桶の土に別の土を順に、これも量を計りながら混ぜていく。

「さまさまだ。」

二人とも手を止めないまま笑いあう。

会話をしながらも二人は手慣れた様子で作業を進め、楓が作った枠の中にレイが準備した土を敷き詰めていき、

出来上がった木枠の中に二人は前回の収穫の時に残しておいた種を蒔いていく。

「これで終わり。」

最後の種を蒔き終えて、手を払ってレイが腰を上げる。

「ずっとしゃがんでると腰が痛くなるよ。」

楓もそう言って立ち上がり腰の後ろに手を当てて体を伸ばす。

「楓、おばあちゃんみたいだよ。」

楓のその姿を見ながら、レイが笑う。

「レイと違って、私は高さが合わないのよ。」

楓が体をほぐすようにひねりながら抗議の言葉を返す。

「うちの種蒔き台はお父さんの大きさだから私の手が届かないんだよね。」

納屋の方を振り返りながらレイは少し考える。

「あの種蒔き台は私でも少し高いからね、台に乗ってするのも面倒だし。」

「ちょうどいい大きさの種蒔き台、作るべきなのかもね、」

考えるレイの顔には少しだけ寂しさが浮かんでいるように見える。

「まぁ、下でやれば並べなおす手間はないから、これでも良いんだけどね、」

レイのわずかな雰囲気の変化に楓は努めて明るく声をかけ、

「土入ると、これ重いし。」

そう言って種の蒔き終った木枠を指さして見せる。

「それもそうだね、持ち上げるの大変だもんね。」

レイも一瞬見せた表情を消し、明るく楓の言葉に応じる。

「それに、これなら置くだけで済むからね。」

そう言って、丸屋根型の覆いを木枠の上に被せる。

「動かさなくていいから楽よね。」

楓もレイと同じように覆いを被せていく。

一通り覆いを被せて飛ばないように固定を済まし、

使った道具を片付けるころには太陽は山の頂上にだいぶ近くなっていた。

「レイ、今日、晩御飯うちで食べていかない?」

道具の入った最後の箱を持ってきたレイから受け取りながら、楓がたずねる。

「何かあるの?」

棚に箱を戻した楓が脚立から降りる場所を空けてレイが首をかしげる。

「何かあるわけじゃないんだけど、母さんがレイ一人でご飯作るの大変だろうから、誘って来いって。」

降りた脚立を定位置に戻した楓の言葉にレイは少し考えるように沈黙してから頷く。

「確かに一人分作るのって面倒なのよね。」

「そうなの?

ちょっとでいいから楽なんじゃないんだ。」

楓の言葉にレイは苦笑を浮かべる。

「ちょっとはちょっとで色々と面倒なのよ。」

「そうなんだ。」

「そうよ、楓も料理すればわかるよ。」

「これでも最近は料理してるのよ。」

納屋を出て鍵をかけるレイの背中に向かい楓が口をとがらす。

「うそ、楓が料理?」

「うそ、って何よ、私が料理しちゃ悪いの?」

「悪くはないけど、楓が料理ね、」

楓が拗ねて見せるのに、レイは振り返り笑顔を見せる。

「何よ、まだ何か言いたそうね。」

「何も、じゃあ今日は楓の料理も食べさせてもらえるの?」

レイの言葉に楓が目を逸らす。

「今日は、疲れてるから無理よ。

またそのうちにね。」

「そのうちに、ね。」

レイは笑顔で楓に応じ鍵を持って勝手口から台所に入る。

土間になった台所スぺースはきちんと片づけられていて、レイが大切にここを使っていることがよく分かる。

「レイはさ、何で料理出来るの?」

レイの後について台所に入った楓がたずねる

「何でって、だって父さんもニアも料理出来ないんだもの。」

台に上り水道で手を流しながらレイが応じる。

「ああ、ニアの料理はひどかったわね。」

昔見たニアの料理を思い出し楓が顔をしかめる。

「ニアの料理も、ね。」

楓に水道前の場所を譲りながらレイは少しいじわるな顔で「も」を強調して言い直す。

「私のは食べられたわよ。」

レイの言葉に楓は同じではないことを強く主張する。

「まぁ、ニアのは料理とは言えなかったからね、」

レイも昔の事を思い出し苦笑を浮かべる。

「どうやったら、同じ材料であそこまで違うものが作れるのか、」

楓の言葉にレイは少し考えて言葉を口にする

「だいじょうぶ、楓のが中間だったから、ミッシングリングは無いわ。」

真面目な顔で言うレイに楓はもう一度違いを主張する。

「私のは食べられたでしょ。」

「一応ね、」

澄まし顔で言うレイに楓はふくれて見せる、少しの間そのまま二人顔を突き合わせていたが、

どちらともなく笑いがこみあげてきて二人同時に吹き出すと、そのまま二人そろって声を上げて笑いはじめる。


「さてと、ちょっと着替えてくるから待ってって。」

ひとしきり笑いあいニアの料理の話で盛り上がった後、レイが母屋に上がりながら楓に声をかける。

「りょーかい」

母屋への上がり口に寝そべったまま楓が応じる。

「ああ、そだ。」

奥へ行きかけたレイが足を止めて振り返る。

「何?」

視線だけをレイの方に動かしながら楓がたずねる。

「卵、持って行って。」

レイの応えに楓は手を上げて応じる。

「りょーかい、いつものとこにあるの?」

体を起こしながら楓がたずねる。

「いつものとこ、あるの全部持って行っていいから。」

言葉だけで応えレイは着替えに自分の部屋に向かう

「りょーかい、じゃあ全部入れとくよ。」

楓もその背中に向けて応えると、勝手知ったる他人の家で籠を取り出し卵の置いてある棚に向かう。


ここまで見ていただきありがとうございます。

あらすじの最初の数行の部分までになります。

何も起こらないまま女の子二人が雑談してるだけで申し訳ございません…

基本戦闘シーンは次の話の頭の部分に出てくるだけですが、興味のある方は次も目を通していただけると幸いです。

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