第68話 “会いたい存在”の影と、揺らぐ希望の核心
総集編もあるので、テンポよく読みたいかたはそちらがおすすめです。
霧が完全に晴れたとき――
恒一は息を呑んだ。
そこに立っていたのは、
もう二度と会えないと思っていた“影”だった。
リオが震える声で言う。
「……これって……
本当に……?」
エイルは胸に手を当て、
涙をこぼしそうな顔で呟いた。
「光の道の試練……
“最も会いたい存在”の影……
恒一さんにとっては……
この人なんですね……」
影は腕を組んだまま、
静かに目を細める。
「なるほどな。
希望を試すってのは……
こういうやり方かよ。」
ナギは優しく言った。
「恒一。
これは“幻”じゃない。
でも“本物”でもない。
あなたの心が生んだ影……
希望の形。」
残響は短く告げる。
「つなぎ手。
向き合え。」
◆影の人物
その影は、
柔らかい笑みを浮かべていた。
恒一の胸が締めつけられる。
「……どうして……
ここに……」
影の人物は、
恒一の名を優しく呼んだ。
「恒一。」
その声は、
記憶の中と同じ温かさだった。
リオが息を呑む。
「恒一さん……
知り合いなんですか……?」
エイルは静かに頷く。
「いいえ……
これは“恒一さんの心”が知っている人……
私たちは知らない……
でも……
恒一さんにとって大切な人……」
影は低く呟く。
「会いたくても会えなかった存在……
それが試練として現れたってわけだ。」
ナギは静かに言った。
「希望は、
“願い”と“痛み”の両方でできている。
だからこそ……
この影は恒一にとって特別なんだよ。」
◆影の問い
影の人物は、
恒一に一歩近づいた。
「恒一。
お前は未来を選んだ。
でも……
その未来に“私”はいない。」
恒一は息を呑む。
「……それは……」
「それでも……
その未来を歩くのか?」
リオが叫ぶ。
「そんなの……
そんなの、答えられるわけ……!」
エイルは涙をこぼす。
「これは……
残酷すぎます……!」
影は拳を握る。
「希望を試すってのは……
こういうことかよ……!」
ナギは静かに言った。
「恒一。
この問いは……
“希望の核心”なんだよ。」
残響は短く告げる。
「答えろ。
つなぎ手。」
◆恒一の答え
恒一は震える手を握りしめ、
影の人物を見つめた。
「……俺は……
お前に会いたかった。
ずっと……
もう一度話したかった。」
影の人物は微笑む。
「知っているよ。」
「でも……
俺が選んだ未来には……
お前はいない。
それでも……
俺は歩く。
お前がいない未来でも……
俺は、前に進む。」
影の人物の瞳が揺れた。
「どうして?」
「お前が……
“生きてほしい”って言ってくれたからだ。」
影の人物は、
静かに目を閉じた。
◆影の消失と、希望の証明
光が影の人物を包み、
その姿がゆっくりと薄れていく。
リオが涙を拭う。
「……消えていく……
でも……
悲しい感じじゃない……」
エイルは微笑む。
「はい……
これは“別れ”じゃありません……
“前に進む許し”です……」
影は静かに言った。
「恒一。
よく言ったな。」
ナギは優しく微笑む。
「希望は……
痛みを抱えても進む力。
あなたはそれを示した。」
残響は短く告げる。
「試練は終わった。
光の道は、お前たちを先へ進める。」
影の人物は最後に微笑み、
光の粒となって消えた。
恒一は静かに呟いた。
「……ありがとう。」
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