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プロローグ



創世暦4755年。

銀河GN-z11の深奥に、蒼い光を帯びて静かに輝く星がある。

その名を――カストル星という。


この星は、宇宙という果てなき闇の海に浮かぶ一つの島であり、同時に、無数の生命が織りなす壮大な物語の舞台でもあった。遠く離れた恒星カストルの柔らかな白光を受け、星の大地は昼夜を問わず淡い金色の輝きに包まれている。宇宙の観測者たちが見れば、それは静謐で美しい楽園のようにも映るだろう。しかしその表層の下では、幾千年にも及ぶ進化と、文明と、そして争いの歴史が脈打っていた。


カストル星は、広大な海と複数の巨大な大陸によって構成される惑星である。赤道帯には温暖な蒼海が広がり、その海域には珊瑚のように輝く浮遊礁や、夜になると光を放つ生物群が漂う幻想的な海洋世界が存在する。極地へ向かうにつれて海は氷に覆われ、氷床の下では未知の深海生命が静かに生き続けていると言われている。


この星の大地には、生命の多様性が息づいている。深緑の大森林、雲海に突き出す山脈、風が歌う草原、そして古代文明の遺跡が埋もれた砂漠――。それぞれの土地が独自の生態系と文化を育み、異なる種族たちの生活圏となっていた。


フェアリーは森と風を愛し、巨木の枝葉に築いた空中都市で暮らしている。彼らは精霊と交信する能力に長け、自然と調和した文化を築いてきた。

バーバリアンは寒冷地や山岳地帯に居住し、強靭な肉体と誇り高い戦士の精神を持つ民族として知られている。彼らの村では、古代から続く部族の掟と戦士の誓いが何よりも重んじられている。

アヤカシは霧深い谷や影の多い森に潜む神秘的な種族で、姿を変える術や幻惑の術を操ると言われる。彼らの存在は人々の間で半ば伝説として語られている。

エルフは古代知識の守護者であり、魔導学と天文学の研究において最も高度な文明を持つ。彼らの都市は水晶と白石で築かれ、夜空の星と同じように輝いている。

そしてドラゴニア――龍の血を受け継ぐ種族は、火山地帯や高空都市を拠点に繁栄している。強大な魔力と誇り高い文化を持つ彼らは、古来より戦場において最も恐れられる存在であった。


これら多様な種族は、決して無関係に生まれたわけではない。カストル星の生命の源流には、遠い昔、宇宙からもたらされた一つの“種”があった。

それはソラリス――宇宙を旅する調停者たちによって植えられた生命の原型であり、すべての生命はその細胞の系譜を辿っている。彼らは星々に生命を育て、進化を見守り、そしてその記録を宇宙へと持ち帰る存在であった。


カストル星もまた、そうした壮大な宇宙計画の一部として誕生した世界である。

この星に芽吹いた生命は、長い歳月をかけて独自の進化を遂げ、やがて文明を築き、文化を生み出し、そして戦争を知ることとなった。


現在、この星はかつてない動乱の時代に突入している。

後世に「第一次大陸間戦争」と呼ばれることになるこの争いは、複数の大陸国家と種族連合が衝突する大規模戦争であり、星全体の勢力図を塗り替えるほどの激動を引き起こしていた。


空には魔導艦が航行し、大地には魔導兵団が進軍する。

都市では新たな兵器と魔導技術が開発され、戦場では種族を超えた同盟と裏切りが繰り返されていた。


かつて生命の楽園と呼ばれたこの星は、いまや文明と欲望が衝突する巨大な戦場となりつつあったのである。


しかし、この星の歴史はまだ誰にも知られていない秘密を抱えていた。

古代遺跡の奥深くには、ソラリスが残したとされる装置や記録が眠っており、そこには生命の起源、そして宇宙そのものの目的に関わる真実が刻まれていると言われている。


もしその真実が解き明かされたとき――

カストル星に生きるすべての種族は、自分たちの存在の意味を知ることになるだろう。


この星は、ただの戦場ではない。

ここは宇宙が長い時間をかけて紡いだ一つの実験場であり、無数の生命が交差する運命の舞台であり、そして未来へ向かう進化の分岐点でもある。


星の夜空には、遠くの銀河が微かな光を放っている。

その光の向こう側から、今もなお宇宙の観測者たちは静かにこの星を見つめているのかもしれない。


生命がどのように争い、どのように生き、どのような未来を選ぶのか――。


その答えを記録するために。

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