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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
4章~巫女の祝祭~

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ep.196 掲示板の裏側

冒険者ギルドの掲示板は、朝の光を受けてきらりと光っていた。 木製の枠に、依頼札がずらりと並ぶ。 その一枚一枚が、町の誰かの願いであり、冒険者たちの道しるべだった。


「よし、じゃあ今日はこの掲示板の貼り替え、お願いね!」


元気な声とともに、柚がラディたちに束ねた札を手渡す。 「古い札は外して、こっちの新しいのを貼ってって。順番は日付順、わかる?」


「うん、大丈夫。……って、これ、けっこうあるな」 ラディは札の束を見て、思わず苦笑した。


「ふふ、地味だけど大事な仕事だよ~。札がぐちゃぐちゃだと、依頼も混乱しちゃうからね」


掲示板の前で、ラディと紗代が並んで作業を始める。 古い札を丁寧に剥がし、新しい札を一枚ずつ貼っていく。 その手元を、少し離れた場所から藤が静かに見守っていた。


「……札って、こんなに重かったんだな」 ラディがぽつりとつぶやく。


「うん。紙なのに、なんか、重いよね」 紗代も同じように感じていた。


「依頼って、誰かの“困ってる”だからね」 藤が静かに言った。 「それを預かるってことは、命を預かるのと同じ。……だから、札は重いの」


作業がひと段落した頃、柚が笑顔で戻ってきた。 「おつかれさま~!はい、これ差し入れ!」


手渡されたのは、ほんのり焦げ目のついた焼きおにぎり。 中にはとろりとしたチーズが入っていて、湯気がふわりと立ちのぼる。


「……うまっ」 ラディが思わず声を漏らすと、柚が得意げに笑った。


「でしょ?工房ギルドの千さんが作ってくれたの。力仕事の味だよ~!」


掲示板の前に立ち尽くすラディは、 貼られた札の一枚一枚を、まるで風のように見つめていた。


「……俺たち、貼られる側から、貼る側になったんだな」


その言葉に、藤が小さくうなずいた。


「ようこそ、“町の中”へ」

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