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ep.194 次につなげる
祭りの灯りが消え、広場には焚き火の残り火だけが赤く揺れていた。 魚の香りがまだ漂い、潮風が静かに街を撫でる。屋台は片付けられ、木の器や串が積まれていく。
漁師は鍋の底に残ったスープをすすり、「また春が来る」と呟いた。 職人は飾りを外し、木片を手に「次はもっと良いものを作ろう」と誓う。 巫女は鈴を胸に抱き、星空を見上げた。夜空の瞬きが祈りの余韻を照らす。
子どもたちの笑い声は遠くに消え、冒険者たちは焚き火のそばで静かに杯を傾ける。 「この街は続いていく」 誰かが呟いたその言葉が夜に溶け、未来への余韻を残した。
広場を包む静けさは、祭りの終わりではなく、新しい始まりを告げるものだった。




