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ep.193 祈りの言葉
余興の喧騒が静まり、広場には焚き火の残り火だけが赤く揺れていた。 巫女たちが白い衣をまとい、鈴を手に中央へ進む。人々は自然と声を潜め、夜空に星が瞬く中で祈りの時を迎えた。
「春の恵みを、この街に」 祈りの言葉が夜空に溶け、潮風が静かに広場を撫でる。布が風に舞い、歌声が広場を包み込む。魚料理の香りがまだ漂う中、人々は静かに耳を傾けた。
焚き火の残り火が巫女の舞を照らし、星の光がその姿を重ねる。子どもたちも遊びを止め、手を合わせて祈りを真似る。冒険者や職人も杯を置き、静かにその声に耳を澄ませた。
やがて歌が終わり、鈴の音が夜に消える。広場には深い静寂が訪れ、誰もが胸の奥に温かな余韻を抱いた。 「この街は続いていく」 誰かが呟いたその言葉が、祈りの余韻と重なり、未来への光を示すように夜空へ溶けていった。




