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ひげがゆれるとき  作者: 島田一平(ねこちぁん)
4章~巫女の祝祭~

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ep.188 工房の記録

ep.176「火と秩序、街の奥で」

(後半・工房と記録、そして夜)


昼下がり、旅団の若手たちはネイヴの工房を訪れていた。  鉄と油の匂いが混ざる空間に、金属を打つ音が響いている。


「……これ、見てもらえますか?」  ラディが剣を差し出すと、ネイヴは無言で受け取った。


手袋越しに重さを確かめ、刃を傾け、柄を外す。  その動きは荒っぽく見えて、どこか繊細だった。


「……グリップ、もう限界。芯がずれてる。  あと、鍔の内側に砂が詰まってる。……戦闘中、よく抜けなかったな」


「うっ……やっぱり……」


「ま、直しといてやるよ。金はあとで。  ……あんたの手の癖、ちょっと変わってるな。左に重心寄ってる」


「えっ、なんでわかるの!?」


「道具は持ち主の言葉を覚えるんだよ。……黙ってりゃいいのに、全部出てる」


ネイヴはにやりと笑い、火床に炭をくべた。  その火花が、工房の奥を一瞬だけ赤く染めた。


夕方、宿の一角では、ルミナが帳面を開いていた。  その筆は止まることなく、淡々と記録を続けている。


「午後:武具修理依頼(対象:ラディ)  職人との接触、会話内容記録済み。  秩序への影響:軽微。観察継続」


セシルがそっと近づき、声をかけた。


「……それ、全部報告されるの?」


「当然です」  ルミナは顔を上げずに答えた。


「あなたたちの行動は、秩序の境界を測るための材料です。  ……感情的な反応も、記録対象です」


セシルは何も言えず、ただ静かにその場を離れた。

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