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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
4章~巫女の祝祭~

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ep.183 秩序を乱す

ep.174「波の音、旅立ちの背中」

(夜明け前・静寂の中で)


夜が深まり、森はしんと静まり返っていた。  焚き火はすでに小さくなり、旅団の若手たちは交代で見張りをしていた。


その少し離れた場所――  木の根元に座るルミナのそばに、氷雨が立っていた。


「……異常なし」  氷雨が低く報告する。


「当然です」  ルミナは目を閉じたまま答えた。  「この地は、まだ“秩序”の内側にありますから」


氷雨はそれ以上、何も言わなかった。  ただ、剣の柄に手を添えたまま、夜の気配を見つめていた。


そのとき――


「……あの、ルミナさん?」


声をかけたのは、ラディだった。  手には水筒と、冷えたパンを持っている。


「……何ですか」  ルミナは目を開けずに答えた。


「えっと……これ、よかったら。食べてないみたいだったから……」


ラディがパンを差し出す。  ルミナは一瞥もくれず、ただ一言。


「不要です」


「……あ、そっか。うん、ごめん……」


ラディは気まずそうに引き下がった。  その背中を、氷雨がちらりと見たが、何も言わなかった。


しばらくして、ルミナがぽつりとつぶやいた。


「……“善意”は、秩序を乱すことがあります。  それを理解しない者は、やがて混沌に呑まれる」


その言葉は、夜の空気よりも冷たく、  けれどどこか、遠い祈りのようでもあった。

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