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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
4章~巫女の祝祭~

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ep.182 野営地にて

ep.174「波の音、旅立ちの背中」

(夜・野営地)


日が沈み、森の中に静けさが満ちていく。  旅団は小さな野営地を整え、焚き火の準備を始めていた。


「よし、火つけるよー……って、あれ?」  ラディが火打石を構えた瞬間、ルミナの声が飛んだ。


「待ってください」


その声に、ラディの手が止まる。  ルミナは焚き火の前に立ち、淡々と告げた。


「火は不要です。……私の信仰では、“無秩序な炎”は禁忌とされています」


「えっ……でも、夜は寒いし、食事も……」  リンダが戸惑いながら言うと、ルミナは一歩前に出た。


「寒さは耐えれば済みます。食事は冷たいままで構いません。  ……あなたたちがどうするかは自由ですが、私はこの場を離れます」


そう言って、ルミナは焚き火の輪から数歩離れ、木の根元に静かに腰を下ろした。  その姿は、まるで夜の中に溶け込む氷像のようだった。


氷雨は何も言わず、焚き火の外側に立ち、周囲を見張っている。  その背筋はまっすぐで、風の音すら通さない。


「……あの人たち、ほんとに一緒に旅するの?」  ラディが小声でつぶやく。


「一緒に“いる”けど、“旅してる”って感じじゃないね」  セシルが火をつけながら答える。


ぱち、と火がはぜる。  その音が、やけに大きく響いた。


誰も、ルミナの方を見ようとはしなかった。  ただ、火の明かりの外で、彼女の瞳だけが静かに光っていた。

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