表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
4章~巫女の祝祭~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

255/275

ep.180 特使

ep.174「波の音、旅立ちの背中」

(冒頭・ルミナ&氷雨登場)


朝の港は、昨日と同じように潮の香りに包まれていた。  けれど、旅団の若手たちはどこか落ち着かない様子で荷をまとめていた。


「……ほんとに来るのかな、今日」  ラディが小声でつぶやく。  セシルは地図をたたみながら、静かにうなずいた。


「ギルドからの通達は本物だった。『特使が合流する』って」


「“特使”って、どんな人なんだろうね……」  リンダが不安げに言ったそのときだった。


港の空気が、ふっと変わった。  風が止み、空気が張りつめる。  まるで、冬の気配が一歩だけ季節を越えて入り込んできたような――


足音がひとつ、石畳に響いた。


「……あなたたちが、旅団の者ですね」


振り返った先に立っていたのは、白銀の髪を持つ少女だった。  淡い青の法衣に身を包み、瞳は氷のように澄んでいる。  その背後には、黒髪の剣士――氷雨が、無言で控えていた。


「私はルミナ。北方聖堂より派遣された巡察官です」  その声は静かで、感情の起伏がまるでなかった。


「以後、あなたたちの行動を監視・記録します。……神の秩序に反する行為があれば、即時報告します」


「えっ……監視!?」  ラディが思わず声を上げるが、ルミナは一瞥もくれずに言った。


「……話しかけないでください。必要なとき以外は、沈黙を」


氷雨が一歩前に出る。  その動きに、ラディが思わず後ずさる。


「……問題ない。護衛、開始する」  それだけ言って、氷雨は再び沈黙した。


港の灯が、静かに揺れている。  波留とカヤが少し離れた場所からその様子を見ていたが、何も言わなかった。


ルミナは旅団に背を向け、港の外れへと歩き出す。


「……ついてきてください。遅れるなら、置いていきます」


その背中に、誰も言葉を返せなかった。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ