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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
4章~巫女の祝祭~

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ep.179 明日の海が穏やかでありますように

ep.173「網と灯と、夕餉の支度」

(夕餉と締めの場面)


日が沈む頃、港の一角にある小さな屋台で、湯気の立つ鍋が煮えていた。  魚の出汁に、根菜と海藻をたっぷり入れた漁師鍋。  波留が手際よく味を見て、火を止める。


「お疲れさまでした。……よろしければ、少し召し上がっていきませんか?」


そう言って差し出されたのは、干物と、湯気の立つ椀。  ラディが目を輝かせて受け取り、セシルとリンダも静かに礼を言って腰を下ろした。


「これ、今日の漁で獲れたやつですか?」  リンダが尋ねると、波留はうなずいた。


「ええ。L+の銀斑も、きれいに干せました。……よく動いてくださいましたね。助かりました」


「いえ、こちらこそ……」  セシルが少し照れたように答える。


カヤは無言のまま、干物を一枚ずつ包んでいた。  それを見ていた波留が、ふと旅団の三人に向き直る。


「明日も、お願いできますか?」


その声は、いつものように丁寧で、けれどどこか、少しだけ柔らかかった。


「もちろんです!」  ラディが即答する。  セシルとリンダも、静かにうなずいた。


港の灯がともり始める。  昼間、アベルが整えていた灯台の明かりが、海の向こうを照らしていた。


「……体験って、思ってたよりずっと重いな」  ラディがぽつりとつぶやく。


「でも、ちゃんと“役に立てた”って感じがする」  セシルが応じると、リンダが小さく笑った。


「うん。……この町、好きかも」


潮風が、干物の香りを運んでいく。  その夜、旅団の若手たちは、いつもより少しだけ早く眠りについた。  明日の海が、また穏やかでありますようにと願いながら。

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