ep.174 潮風に吹かれて
ep.172「潮の香、朝の市」締め(草案)
朝市の喧騒は、陽が高くなるにつれて少しずつ落ち着きを見せていた。 旅団の面々は、港の外れにある小さな広場に腰を下ろし、それぞれが手に入れたパンや果物をかじりながら、明日の話をしていた。
「五つ刻って、けっこう早いよな……」 ラディがパンをかじりながらぼやくと、セシルがすかさず返す。
「漁は夜明け前から始まってるんだよ。むしろ遅いくらい」
「うぅ、朝が弱い俺には試練だ……」
リンダはそんなやりとりを聞きながら、ふと港の方へ目を向けた。 波止場の先に、明日の集合場所である第二桟橋が見える。 潮風に吹かれて、帆をたたんだ漁船が静かに揺れていた。
「……波留さん、すごく落ち着いた人だったね」 リンダがぽつりとつぶやくと、ルークが頷いた。
「うん。でも、なんか……“本物”って感じがした」
「うん。あの人に“ありがとう”って言われたら、すごく嬉しい気がする」
誰かがそう言ったとき、港の鐘が一つ、遠くで鳴った。 昼の合図。市場の屋台が、少しずつ片付けを始めている。
旅団は立ち上がり、それぞれの荷物を整え始めた。 明日の朝、潮の香と共に始まる新しい一日を思いながら。




