ep.171 終幕:灯のあとで
祝祭が終わり、広場の灯もすっかり消えた夜。 社の奥、ひっそりとした小さな座敷に、巫女たちと祝主たちが集まっていた。
ちゃぽん── 湯気の立つ湯呑みに、温かな甘酒が注がれる。
「ふぅ……やっと終わったね」 キズナが肩を回しながら、湯呑みを手に取る。
「でも、みんなの顔がすごくやわらかくなってた。あれ、見てよかった」 風音が微笑むと、美琴がこくりとうなずいた。
「音が届いていたなら、うれしいです。……ちょっと、緊張しましたけど」 「ふふ、最後の一音、すごくきれいだったよ」 千夜が静かに言うと、場がふわっと和んだ。
そこへ、咲姫が小さなお盆を持って入ってくる。 「みんな、おつかれさま。今日は本当にありがとう。 ……さあ、乾杯しましょうか」
「おおっ、待ってましたぴょん!」 うささまがぴょんと跳ねて、甘酒の器を掲げる。
「では──」 果林が静かに立ち上がり、皆を見渡す。
「この祝祭を支えてくれたすべての人に。 そして、ここにいる仲間たちに。 また、次の光を迎えるその日まで──」
「「「「「「「かんぱーい!」」」」」」」
器が軽く触れ合い、やさしい音が響いた。 それは、祝祭の余韻を包む、最後のひとつの灯のようだった。




