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ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
4章~巫女の祝祭~

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ep.170 第七幕:夜の祈り

灯がすべてともされた広場は、まるで星空を地上に映したようだった。  人々は言葉を交わすことなく、ただその光に見入っていた。  そのとき──


しん……と、空気が変わる。


どこからともなく、千夜ちよが現れた。  深い藍色の装束に、月の紋がひとつ。  その姿は、まるで夜そのものが人の形をとったかのようだった。


千夜は、ゆっくりと広場を歩く。  その足元にある灯が、彼女の通り道に合わせて、ひとつ、またひとつと消えていく。


──ふっ  ──ふっ


音もなく、光が静かに消えていくたび、  人々の胸の奥に、なにかがそっと染み込んでいくようだった。


「今日という日が、終わりを迎えます」  千夜の声は、夜風のようにやさしく、そして確かだった。


「でも、それは終わりではありません。   灯が消えるのは、また新しい光を迎えるため。   闇は、次の朝を育てる場所──」


彼女は最後の灯の前で立ち止まり、そっと手をかざす。  その灯がふわりと揺れ、やがて静かに消えた。


──しん……とした静寂。


けれどその中に、確かなあたたかさがあった。  人々は、誰ともなく手を合わせ、目を閉じる。


そして、千夜が最後にひとこと、祈るように言った。


「また、ここで会いましょう。   光と、風と、音と、結びの中で──」


その言葉とともに、夜空にひとすじの流れ星が走った。

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