表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ひげがゆれるとき  作者: ねこちぁん
4章~巫女の祝祭~

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

244/275

ep.169 第六幕:灯の儀

美琴の最後の音が空に溶けると、広場はふたたび静まり返った。  けれどその静けさは、今や「満ち足りた沈黙」だった。  誰もが、心の奥に小さな灯をともされたような、そんな表情をしていた。


そのとき、舞台の奥から、ふたりの影が現れる。


雪花せっか雨音あまね。  白と水色のメイド服に身を包み、手にはそれぞれ、灯をともすための器を抱えている。


雪花の器には、氷のように透き通った灯。  雨音の器には、水面に浮かぶような、ゆらゆらと揺れる灯。


ふたりは無言のまま、広場の中央に進み出る。  そして、そっと膝をつき、灯を地面に置いた。


その瞬間──


しゃらん……


どこからともなく風音の鈴が鳴り、  灯が、ひとつ、またひとつと、広場のあちこちでともり始めた。


「これは、あなたの歩んできた日々の灯」  雪花が、静かに語る。


「そして、これから歩む道を照らす光」  雨音が、やさしく続ける。


灯は、まるで生きているかのように、  人々の足元に沿って、ゆっくりと広がっていく。  その数、二千。


広場の隅々まで、やわらかな光が満ちていく。  まるで、夜空に星が降りてきたかのように。


子どもたちはその灯を追いかけ、大人たちはそっと手を合わせる。  誰もが、その光の中に、自分だけの記憶や願いを見つけていた。


そして、雪花と雨音は顔を見合わせ、ふっと微笑む。


「さあ、あとは──」


「夜の帳を、迎えるだけですね」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ