ep.166 第三幕:結びの舞
灯がともり、広場がやわらかな光に包まれる中、 ひとりの巫女が、静かに歩み出た。
キズナ。 白と紅の装束に身を包み、胸元には小さな結び紐の飾り。 その姿は、まるで人と人の想いを結ぶ“糸”そのもののようだった。
彼女は広場の中央に立つと、そっと目を閉じ、両手を胸の前で合わせる。 そして、静かに語りかけるように──
「この日を迎えられたこと、 この場所で出会えたこと、 そして、今ここに共に在ること。 それは、奇跡ではなく、結びの力です」
その声は、まるで心の奥に直接届くような、やさしい響きだった。 キズナは、ゆっくりと舞い始める。 その動きは、糸を紡ぐように、輪を描くように、 広場の空気をひとつにまとめていく。
観客の中にいた子どもが、そっと手をつなぐ。 隣の人も、またその隣の人も。 気づけば、広場のあちこちで手と手がつながり、 まるで見えない糸が、皆をやさしく包み込んでいた。
キズナの舞が終わると、風がふわりと吹き、 空からひとひらの花びらが舞い降りた。
それは、風音が呼び、咲姫が舞い、果林が言葉を紡ぎ、 うささまが鐘を鳴らしたこの祝祭に、 「心の結び」が加わった証のようだった。




