ep.145 ギルド受付~商人ギルド受付~
ギルド受付~商人ギルド受付~
庁舎の奥、商人ギルドの受付には三人の女性が並んでいた。
楓は落ち着いた雰囲気で帳簿をてきぱきと処理し、商人たちから「頼れる人」と呼ばれている。 椛は笑顔を絶やさず、愛嬌たっぷりに来訪者へ声をかける。商人たちの間では「話しやすい」と評判だ。 香はきびきびとした動作で依頼書を捌くが、時折ペンを落として慌てる姿が可愛らしく、仲間から「ドジっ子」と親しまれている。
紗代たちは商人ギルドの窓口に立った。
楓は帳簿をめくり、淡々と確認を進める。 「依頼内容は町の拡張工事に伴う資材搬入・補助作業。報酬は規定通り。こちらに署名を」
紗代は緊張しながらも署名を済ませる。 椛がきびきびと書類を受け取り、印を押す。 「はい、手続き完了です。これで正式に依頼を受けられます」
香は慌てて書類を整理しながら、少し照れたように笑った。 「……すみません、インクをこぼしそうになって」
事務的なやり取りが終わったその時、楓がふと顔を上げた。 「……橋を直してくださった件、町を代表して感謝いたします」
椛も笑顔で続ける。 「あの橋のおかげで遠回りせずに済みますし、資材の運搬もずっと楽になりました」
香は胸に手を当てて言った。 「町の建設にとても役立っています。本当にありがとうございます」
紗代は少し驚きながらも、胸の奥が温かくなるのを感じた。 事務的な手続きの中にも、人の思いがある……町に携わるというのは、こういうことなんだ
紗代は依頼書を見つめ、思わず声を漏らした。 「……拡張って聞いていたのに、建設って……どういうことなんでしょう?」
楓は帳簿から顔を上げ、落ち着いた声で答える。 「町を広げるだけではなく、新しい区画を“建設”するのです。外壁を延ばし、基礎を整え、市場や住居を新しく造る。それが拡張の実際です」
椛が笑顔で補足した。 「人が増えれば、ただ広げるだけじゃ足りません。工房や商店も建てて、町全体を育てていくんです」
香は少し慌てながらも、書類をめくりつつ言った。 「橋を直していただいたおかげで、資材の運搬が楽になりました。だから“建設”の段階に進めるんです」
紗代は驚きながらも、胸の奥で静かに理解した。 拡張とは、町を広げるだけじゃない。新しいものを建て、人を迎える準備をすること……
受付嬢たちの丁寧な説明に、紗代は少し安心した。 「……なるほど。町を造ることなんですね」




