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ep.136 商人として経験をつむ
翌日、隊商は小さな村に立ち寄った。 村人が野菜を売っていたのを見て、紗代は思わず声をかける。 「あの……少し値引きしていただけませんか?」
村人は苦笑する。 「値引き?まだ駆け出しだろう。だが、熱意は買うよ」 少しだけ安くしてくれた。
紗代は顔を赤らめながらアレクセイに振り返る。 「どうでしょう……?」 アレクセイはうなずいた。 「悪くない。商人は交渉から始まるんだ」
一方、ドワーフたちは荷車の車輪を点検していた。 ルドルフが槌を振るい、シュミットが寸法を測り、タラントが笑いながら油を差す。 「これで道が悪くても壊れない!」
冒険者たちは村の広場で待機していた。 バンデは子どもたちに剣を振るって見せ、ぽぷらんは歌を披露し、アリシアは村人に薬草の知識を教え、エマは静かに弓を磨いていた。
しろまるはそんな仲間を見渡し、低くつぶやいた。 「……悪くない隊商だ」
紗代は胸の奥で思った。 少しずつだけど、商人としての道を歩いている。仲間と共に。




