ep.108 封じられた風との邂逅
森の最深部―― 空気は張り詰め、風はほとんど止まっていた。
咲姫 「ひゃぁぁぁ……! なんか……息が詰まるのです……!」
風音 「……“封じられた風”が、すぐそこにいる」
風花 「咲姫ちゃんの風も、緊張してるねぇ」
果林 「団子の袋も固まってるよ~」
咲姫 「団子で判断しないでほしいのですーー!!」
小さな影は、 咲姫の足元をとことこ歩き、 森の奥の空間を指さした。
影 「……ぴ……」
紗綾 「……猫は“ここが本体の居場所”と言っています」
オグマ 「全員、構えろ。 何が出てもおかしくない」
冒険者A 「了解!」
冒険者B 「後衛、魔法準備!」
そのとき――
……ふわぁぁぁ……
森の奥から、淡い光の風が舞い上がった。 形はなく、ただ揺れる粒子のように漂っている。
咲姫 「ひゃっ……!? な、なんか……見られてるのです……!」
風音 「……咲姫。 “封じられた風”が姿を見せ始めた」
風花 「怒ってないよ。 むしろ……“会いたがってる”」
咲姫 「会いたがってるって…… 私、ただの咲姫なのですーー!!」
小さな影はその光に近づき、 まるで触れるように前足を伸ばした。
影 「……ぴ……」
光の風は、 その子に応えるように揺れた。
咲姫 「ひゃっ……!? な、なんか……“ありがとう”って聞こえたのです……!」
風音 「……うん。 “目覚め始めた”って言ってる」
オグマ 「封じられた風…… ついに本体が現れるのか」
紗綾 「……猫は“まだ半分”と言っています」
咲姫 「半分なのですーー!? まだ続くのですーー!!」
森の最深部に、 淡い光の風がゆっくりと形を取り始めた。
まるで―― 長い眠りから目覚めるように。




