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Galaxy Trail  作者: 紀之
追撃+反撃=追跡

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第七話 死闘!火星近海(後編)




火星近海でカデシュが敵陣深く侵入し、ペイガン級輸送艦へ取り付いたのと同じ頃、カデシュの母艦たる巨大球体ポッド、カルブンクルスもまた対艦・対要塞装備に全身を固めたタラス初期型部隊の猛攻を受けていた。


「事前に決めた箇所に砲塔を生成する!各員砲撃を任せたぞ!!」


「了解です、艦長!!」


艦長席に座ったルツの意志を読み取ったカルブンクルスは球体の上下に各3門、側面に各2門の360度回転する10門のフォトンブラスターを生成する。


「な・・・急に砲塔が!?フィジオームと同じなのか?」


「やる事は変わらん!各機包囲して撃ちまくれ!!」


タラス隊は背部バックパック上部だけでなく両手の武器コネクタからも18連ホーミングレーザーナパームと2つのレールキャノンの付いた『爆撃ユニット』を生成し、カルブンクルスの周囲からナパームを斉射。


「バリアー展開!爆撃が終わったら各砲塔周辺のバリアー解除!敵を狙い撃て!!」


「了・・・解っ!」


オペレーターの返事が終わらない内にナパームの直撃でモニターが、ポッド全体が真っ赤に染まる。バリアーによって守られているとはいえ、その鮮血の色は人間の心に不安と恐怖を誘発するに十分だった。


「う・・・翔うゥ・・・!?」


砲撃要員として志願した相羽優歌もその1人だった。ルツを始めとした元エイジア号クルーからは驚きと

役立つのか半信半疑の目で見られ、親友の牧野琴音からは当然止められた。


危ないからやめた方が良い、何かあったら北条君も心配するよ


その時は琴音の言葉にモヤモヤした感情がカッと湧きだして半ば意地で自分の主張を押し通した形になったが、たった一人でいる事でより死の恐怖を身近に感じる事になった。


スピーカーからはカデシュからの報告がまだないのかとかの怒声交じりの通信が飛び交う。


(そうだ・・私、翔の役に立ちたくて・・・・)


幼馴染の自分が一番翔を知っている。そう思っていた。だが異常事態が続出する中で翔の何かが変わり、レンも琴音もそれを知っているかのように受け入れて行っているのが気に食わなかったのだ。


「こんのォー!!」


必ず生き延びる。自分も翔も、皆一緒に


砲塔周辺のバリアーが解除され、優歌は反射的にトリガーを引く。ブラスターがタラスの腰を直撃し、爆圧で跳ね上がったタラスの手持ちのホーミングレーザーナパームが暴発、周囲の友軍機へ着弾、爆発の連鎖が起きる。


「や、やった!?」


「撃ち方止め!カルブンクルス前進!カデシュ救援に向かう!!各員索敵を怠るな!!」


大破したタラスから円筒形カプセルを回収して後退していく敵へ追い打ちをかけるべくブラスターを連射する優歌は艦長から砲撃停止の指示を受けると長い息を吐きトリガーにもたれかかる。再び顔を上げた時、彼女の顔は晴れ晴れとしていた。



「う・・・ン!?カケル、カケル、しっかりして!?」


タラス(現用機)部隊からの放電攻撃を受け気絶したレンは真っ暗になったカデシュのコクピットで項垂れるように自分の右に座っている翔を揺する。


「よかった!生きてる・・・」


翔の胸に耳を当て心臓の鼓動を確かめた彼女は電撃を浴びながらも彼がカデシュの機能を自ら停止させる指示を思考コントロールシステムを通してしていたことを朧気(おぼろげ)ながら思い出した。


(動かなければ終わりだ・・・やるしか・・ない!お願い、あいつらを倒す力を!!)


脳波を感知されない為にヘルメットを外し正面コンソールの起動スイッチを押す。


点いた!!


素早くレンは定位置に戻ると頭上のヘルメットを再装着し、『操縦者交代(テイクターン)』を念ずると操縦席が右回りに回転し、レンはカデシュのコクピット正面へ移動する。


カデシュの異変は直ぐにヘーレム側に察知された。


「ば・・・馬鹿な・・・こんな事が!?」


タラスのパイロット達も、司令官のグログさえも予想外の出来事に思考ユニットがフリーズした。


だが誰が彼らを責められようか?捕獲したはずの機体が再起動し、その姿が変身していく事を一体誰が予想できるだろうか?


カデシュの体色が群青色と赤いラインがガンメタルと紫のラインの入った物に変化


両肩と脚部にバーニアスラスターが追加され、翼が6連ホーミングレーザーナパームユニットへ『変身』

両腕前腕の装甲が倍の長さになると同時に頭部のクワガタを思わせる顎が180度反転し人間の耳の部分に装着され、後ろ向きの3本角のあるバイザーが跳ね上がりながら額に垂直に装着、その後ろに隠れていたツインアイを露出。



レンのヘーレムへの怒りに反応した、カデシュ・TypeGガンナーである。


「往け!」


レンの気迫と共にカデシュは両腕のショックアンカーを交差するように掴むとあっけにとられているタラス2機を両脚を拘束するタラスへ叩きつける。火花を散らしながら激突し、体勢を崩したタラス達。その隙にカデシュは自らの(いまし)めを解く。


「さっきのお返しをさせてもらうよ!!」


両腕の装甲が変形し、通常形態の倍の長さのフォトンライフルを二丁拳銃の如く目にも止まらぬ早撃ちでタラス4機を撃ち抜き爆散させると視界一杯に広がっていたストラデゴスからの猛烈な火線を両肩・両脚のスラスターで巧みに躱しながら砲塔を、機銃を、レーザーナパーム発射管をライフルで潰していく。


「チッ、鬱陶(うっとう)しい!!」


背後から遅ればせながら砲撃するオートノミー級、前方からは作戦終了を告げられ、戻って来たタラス(最初期型)の残存部隊が事態の急変を告げられたのか、さしたる動揺を見せずにフォトンライフルを生成し撃ちかかる。狙いは『用済み』となったペイガン級の脱落した奴隷コンテナブロックだった。


「こっちの方が早いんだ!!」


レンは視線を動かして8つの個所を瞬時にロックオン、背部の6連ホーミングレーザーナパームと両手のフォトンライフルを同時に斉射する。


カデシュの周囲に閃光が走り、敵弾を全て迎撃するとその場で回転しながら腕を上下白湯に動かしながらライフルを連射し、艦船とタラスを爆炎に包んでいく。


「凄い・・・!」


戦闘の光で目を覚ました翔はレンの操縦技術に感嘆を漏らすと同時に自分の耳元で鳴った新たな音に注意を向けるとレーダーでカルブンクルスがこちらに近づいてくるのを確認する。


「レン、リングをカルブンクルスの方へ・・・」


「待って・・・後方に敵増援・・・!?」


カデシュの真後ろからオートノミー級の大型フォトンブラスターが一条、戦場を貫き、カルブンクルスを掠めて虚空へ吸い込まれていく。それに気を取られたカデシュの一瞬のスキをついてヘーレム艦隊はFOを帰還させるとリング型コンテナを放って隕石地帯へと移動していく。


「行かせるか!」


「待て、レン!まだ何か来る!?」


その3つの光はタラスにしては非常に早かった。


「あれは・・・マンジケルト!?」


翼の下に小型のフォトンライフルを装備したスカイブルーの戦闘機。その背部コンテナからパパパっと光が伸び、すぐに破裂して黒い霧を周辺宙域にばら撒く。戦闘機編隊はその技量を見せつける様にカデシュの鼻先で急速宙返りをすると艦隊を追って去って行った。


「この黒いのは!?」


「ディフェンド・チャフだよ・・・光や電磁波を吸収する、つまりライフルもレーダーも一時的に無力化される」


「戦いにくい相手ってことか。操縦代わるよ」


「ありがとう。ちょっと休ませてもらうわ」


頭を押さえながらレンはカデシュのコントロールを翔に渡す。カデシュの姿が出撃時と同様の姿に変わると翔はカデシュを宇宙空間に漂うリングへ向ける。


(見た所傷はついていないな!奇跡的に助かって良かった!父さん達はこの中にいるかな!)


「リング内の人間の受け入れ準備急げ!」


戦闘は終わり、ルツはカデシュが持ってきた拉致された地球人の状況確認を部下に命じると通信を切る


「さて、これからが大変だぞ・・・!」


その呟きは誰にも聞かれることは無かった。

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