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最弱と呼ばれた少年、実は最難関ダンジョン攻略済み ~ダンジョン探索を楽しんでいたらエリートクラスの美少女から弟子入り志願されています~ 書籍化&コミカライズ化決定!  作者: 天池のぞむ
第4章 最底辺クラスの少年

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第57話 繋がる糸


「え? 金の襟章ですか……?」

「そうよ。あの子の住処……つまり《ドライアドの地下樹林》の第200階層で見つけたの」


 皆の視線が集まる中、ウンディーネが取り出した金の襟章を円卓の中央に置いた。


「これが200階層にあったということは……」

「うむ。誰かがそこに行き、落としたと見るのが妥当じゃろう」


 シエスタの問いに対してノームが答える。

 その傍らで思案顔になっていたロゼッタは顎に手を当てて何かを考え込んでいた。


「そして先程も話した通り、ドライアドはその場所にいなかったんじゃ」

「なるほど。確かにこの襟章、ロゼッタさんが着けているものと同じですね。じゃあ、Aクラスの誰かがそこに行ってドライアドさんと接点を持ったということなんでしょうか?」

「そういうことになるかのぅ」


 シエスタが卓に置かれた襟章とロゼッタの首元を交互に見やる。


 今シエスタが言ったように、金の襟章の持ち主はリベルタ学園のAクラスに所属する生徒ということになる。


 より考えれば元Aクラスに所属していた卒業生なども対象に入るのだろうが、そのような人物であればわざわざ金の襟章を携帯していたとも考えにくい。

 であれば、この金の襟章は在校生のものであると考えるのが自然だろう。


 ノームが考えを述べると、皆がその意見に賛同した。


「でもノームさん。襟章が落ちていたということは、その人は第200階層まで到達したことになりますよね? ルクスくん以外にそのようなことができる人がいたんでしょうか?」

「そこは儂も気になっとるところじゃが……」

「まあそれよりもさ、それが誰なのかって方が俺は気になるけどな。シエスタがさっき言った通り、その襟章を落とした人物がドライアドと関わりを持ってたってことなんだろうし」

「そうね。ルクスの言う通りだわ。だとしても一体誰が……」


 シエスタにノーム、ルクスにウンディーネと、それぞれが発言するが、答えが出ずに思案する。

 そしてしばし沈黙した後で、ルクスがロゼッタに向けて問いかけた。


「それでさ、生徒会にいるロゼッタなら調べられるんじゃないか? 襟章の紛失届って確か生徒会に提出するきまりだろ?」

「ええ、そうなのですが……」


 ロゼッタは難しい顔をしたまま反応し、一度言葉を切る。

 そして――。


「実は、金の襟章を失くした人物については私、心当たりがありまして」

「ん?」

「昨日、見たんですよね。本来金の襟章を着けているはずの人が着けていなくて」

「おお、そうなのか。で、それって?」

「あの……会長なんです」


 ロゼッタの言葉に、ルクスだけではなくシエスタも目を見開く。


「え? 会長って、シーベルト生徒会長?」

「そうです。生徒会の仕事の時、着けていなくて。聞いたら失くしたようでしたけれど……」

「はぁ……。じゃあ生徒会長が鍵を握ってるってことか。なんかえらい人が出てきたもんだ」

「もちろん他にも失くした人がいないか調べてみる必要はあるでしょうけど」

「まあ、そうだな……」


 ルクスは大きく息を吐き、椅子に背を預ける。

 シエスタはルクスほどあからさまには姿勢を崩さなかったものの、少し惚けた様子を見せたのは同じだった。


 一連のやり取りを聞いていたウンディーネが鼻を鳴らし、皆に声をかける。


「なんだ、誰か分かって良かったじゃない。とりあえずその生徒会長とやらを問い詰めましょ」

「そんな簡単にはいきませんよ、ウンディーネ。もっと慎重になるべきです」

「なんでよ、ルーナ。その生徒会長がドライアドの住処に行ったってことは変わりないんでしょ? ドライアドを(さら)った可能性だってあるわ」

「もし違っていたら? それに、彼らにとっては自分たちのリーダーなんですよ?」

「うぐっ……。それはそうだけど」

「とりあえず何か事情があるのかもしれませんし、生徒会長さんの動向を追ってみるのは良いかもしれませんけどね」


 ルーナは淡々と述べ、静かに紅茶を(すす)る。


「ルーナさんの言う通り決めつけはよくありませんが、私としては何か悪意を持った人には思えないんですよね」

「確かにロゼッタさんは生徒会で一緒にお仕事をされていますしね。私たちよりシーベルト会長のことはよく知っていますよね」

「まあ、掴みどころのない人ですけどね」


 ロゼッタはシエスタに向けて少し困ったような表情で微笑みかける。


「よし、他に襟章を失くした生徒がいないかはロゼッタに確認してもらうとして、まずは生徒会長に何か変わったところがないか調べてみるか」


 ルクスがそう発言し、皆が揃って頷いたのだった。



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