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第50話 指導を受けるルクス


 ロゼッタが特別講師を務める授業が始まってから少しして。

 今はFクラスの女子生徒が指導を受けていた。


「ロゼッタさん、どうでしょうか?」

「発動までが速くて素晴らしいですね。魔法の使用に慣れている証拠だと思います。きっとたくさん練習されたんですね」

「あ、ありがとうございます!」

「ダンジョンを本格的に攻略するなら使える魔法の属性にも幅がほしいところですね。始めは初級ダンジョンからでも構わないので、色々と攻略して扱える魔法を習得していくことをお勧めします。きっと魔物相手の立ち回りの選択肢もグンと広がりますよ」

「はいっ!」


 指導を受けた生徒はロゼッタに礼を言った後、同じFクラスの仲間と合流し興奮気味に言葉を交わす。

 ロゼッタはそんな光景を見ながら微笑を浮かべていた。


 ダンジョンの攻略を通じて優秀な人材の育成・輩出を行うリベルタ学園。


 そんな場所に入学する生徒たちは魔法に対する興味や関心を持ち、そして自身の将来を切り拓くべく研鑽を重ねている――と、それが理想なのだろう。

 が、学園の中で最底辺と呼ばれるFクラスに所属している生徒たちには少なからず劣等感を持つ者が多い。


 そんなFクラスの生徒たちにとって、同じ学園のトップクラスに位置するロゼッタは憧れの的であり、だからこそロゼッタにかけられる言葉はまさに一つ一つが金言だった。


 もっとも、ロゼッタにとっては自身が繰り返し受けてきた指導を行っているだけなのだが。


(何だか、Fクラスの皆さんを見ていると過去の自分を思い出しますね)


 そんなことを考えながら、ロゼッタはルクスの方をちらりと見やり、昔に思いを馳せていた。


 ロゼッタがFクラスの生徒たちに指導を行い、授業は進んでいく。


 ――そうして、ルクスが指導を受ける番となった。


「いや、何で師匠、使う魔法が《火球の礫(ファイアボール)》なんですか」


 ルクスが魔法を使用するなり、ロゼッタが周りに聞こえないよう耳打ちしたのはそんな言葉だった。


「師匠なら中級魔法とか上級魔法だって使えますよね。それにすごく手加減までして」

「そこはほら、このクラスだと《火球の礫(ファイアボール)》しか使えないことになってるし……。というかロゼッタだってその辺りの事情は知ってるだろ」

「まあ、そうですけど。でもやっぱり師匠が力をセーブしているのを見るともどかしいというか何というか」

「そう言わず指導してくれ。オリオール先生だって見てるんだから」

「はぁ……。私から師匠に教えることなんてないんですけどね。そもそも師匠は私に魔法を教えてくれた人なんですし」

「そこを何とか」

「分かりましたよ。その代わり、師匠もちゃんと演技、してくださいね」


 ロゼッタはやれやれと嘆息し、それからルクスに対して表向きは(・・・・)普通の指導を行っていく。


「――という感じでこれから鍛錬していくのがよろしいかと」

「分かりました、ロゼッタ先生!」

「せ、先生……!?」

「ロゼッタ先生の教えを活かしてこれから頑張ります! ご指導、ありがとうございました!」

「……」


 あからさまにわざとらしく頭を下げるルクス。

 そのルクスを見ながらロゼッタはゴクリと喉を鳴らす。


(くっ、これも悪くないかもしれない……!)


 その光景を見ながら、何となくルクスとロゼッタの関係性を知っているコランとシエスタは乾いた笑みを浮かべていた。



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