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第44話 共有される真実


「に、に……にひゃく!?」


 ルクスの告げる内容を聞いて、シエスタがこれまでで一番ではないかという声を上げる。

 一方で月の精霊ルーナは無表情のまま宙を漂っていたが、僅かに口を開いていた。


「ああ、ルーナから聞いてなかったのか。そりゃそういう反応になるよな。世間一般じゃダンジョンの最深部は10階層までとされてるし、その奥があるって知った時は俺も驚いたよ」

「い、いえ、そっちではなく……。それに、ルーナさんからダンジョンの最深部については私たちが知らない階層があるって教えてもらいました」

「あ、そうなの?」

「それよりも、私が驚いたのはルクスくんが200層まで到達したってことです。ダンジョンは深くなるほど強力な魔物が出るっていう話ですし……」


 そう言って、立ち上がりかけていたシエスタはすとんと椅子に座り直した。


「それだけ深い階層に潜っているということは、やっぱりルクスくん、色んな魔法を使えるってことですよね。変だと思っていました」

「そういえばシエスタは何で俺が加減してるって思ってたんだ?」

「あ、それはルーナさんが」


 シエスタが言って、ルーナの方に視線を向ける。

 ルーナは先程から表情を崩さず、ただふわふわと浮いていた。


「私は魔力の流れを察知するのが得意ですからね。貴方を見たとき、明らかに力をセーブしている感じがしたのでシエスタと話しました」

「なるほど」

「でもまさか、人間が200層まで到達しているとは。私も驚きです」

「え、それで驚いてたの?」

「はい。それはもう、とてもびっくりです」


 ルクスの前で呟くルーナだったが、やはり表情は変わっていないように見えた。


「それにしても、ノームの住処である200階層付近には強力な魔物もいたと思うのですが……。姿を消せる私たち精霊ならいざ知らず、よく踏破できましたね」

「ああ、骨の竜とか、壁ごと迫ってくる敵がいたな。強敵だったけど、その分ワクワクしたよ」

「ワクワクした?」

「うん。やっぱりさ、ダンジョン攻略って強い敵との戦闘も醍醐味の一つじゃん?」


 本心から言っている様子のルクスをじっと見下ろし、ルーナはまたも僅かに口を開く。


「……ふふ。やはり貴方は普通の人間とはどこか少し違うようですね」

「え? そうかな?」

「ええ。シエスタとは別の意味で興味深いです」

「それは光栄……なのか?」


 僅かに笑みを浮かべるルーナを見て、ルクスはやっぱり変わった精霊だなという印象を抱く。

 そして話を戻すかと、咳払いを挟んでから言葉を発した。


「で、ノームのじっちゃんと会った後にウンディーネとも会ったんだよね」

「ウンディーネって、あの水の精霊ですか? じゃあ、ルクスくんは《ウンディーネの大氷窟》にも行って?」

「ああいや、ウンディーネと会ったのは地上でだな。何でも、暇だから地上を散歩してたとか」

「はぁ……。あの子らしいですね」


(ノームのじっちゃんの時が地下だったからなぁ。他の精霊もそうなんだろうと思ってたけど、ウンディーネに続いてルーナもそうだし、意外と地上にいる精霊は多いのかな。まあ、姿を消されてたら分からないし……)


 ルクスがそうやって思考を巡らせていると、ルーナが話の続きを催促する。


「それで、今ノームとウンディーネはどちらに?」


 まあその話題になるよなと、ルクスは少し真剣な表情になった。


 ノームとウンディーネは今、先日の一件――《白水晶の遺跡》で起きた黒の瘴気発生事件に関しての手がかりを得るべく、木の精霊ドライアドを捜しに行っている。


 そのことを伝えるには、黒の瘴気や魔界の植物(イビルローズ)のこと、そして何より、その事件に精霊が関わっているということについて話さなくてはならない。


 シエスタやルーナにとってはこっちの方が驚きだろうなと思いつつ、ルクスは姿勢を正して話し始めた。



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最弱と呼ばれた少年、実は最難関ダンジョン攻略済み

― 新着の感想 ―
[一言] この章のルクスを慕う少女は、ロゼッタとシエスタの事を指してるのか気になる所。2人共姉が居るという共通点もあるし。(片や学園教師、片や魔法師団所属) 後、木の精霊はドライアドなのかドリアード…
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