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最弱と呼ばれた少年、実は最難関ダンジョン攻略済み ~ダンジョン探索を楽しんでいたらエリートクラスの美少女から弟子入り志願されています~ 書籍化&コミカライズ化決定!  作者: 天池のぞむ
第2章 精霊と少年と少女と

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第28話 一つの事件の解決と、新たな事件の匂い


「はいよ、ロゼッタ」

「ありがとうございます、師匠」


 《白水晶の遺跡》での一件があった翌日――。


 ルクスの家にはロゼッタが訪れていて、差し出された紅茶に口を付けていた。


「瘴気を吸っていた生徒たちはみんな目を覚ましたか。良かった良かった」

「はい、本当に何よりですね」


 昨日の事件について報告を受けたルクスは、ほっと一安心といった様子でロゼッタの向かいに腰を下ろす。


「でも、私は師匠が名乗りを上げても良かったと思いますけど」

「名乗り?」

「本当は師匠が中にいた魔物を倒したことについてです。あの後、学園の新聞部の人たちにも色々と聞かれて誤魔化すのが大変だったんですからね」

「はっはっは。良いじゃないか。ロゼッタは新聞の記事に載るのも慣れてるだろうし」

「もう……。瘴気に侵されていた生徒たちは私にお礼を言ってくれましたが、本当に凄かったのは師匠なのに」

「そもそも、あれは俺だけでやったわけじゃないだろ。それに、礼が欲しくてやったわけじゃないしな。みんなが無事なら良いってことで」

「まったく、師匠は相変わらずですね」


 欲の無い師匠にロゼッタは溜息を漏らす。


 結局、昨日の一件はロゼッタが主導で救出に成功したと、リベルタ学園の教師たちには報告を行っていた。


 多くの生徒たちが意識を失ったということから、それは休日にもかかわらず学園内で大きな話題となり、ロゼッタは学園の新聞部にも取材を受けたりして……。


 結果として多くの人間たちから称賛を受けることになったのだが、ロゼッタからすれば複雑な心境だ。


 それでも、ルクス本人はどうやらそれを望んでいないようだし、少なくとも自分は本当の立役者が誰なのかを知っているのだから、それはそれで良いかとロゼッタは思い直す。


「とりあえず、瘴気突発の件に関しては後日先生方も調査するようですし、一件落着と思って良いかと」

「うーん。でも、気になるよなぁ。何であんな代物が初級ダンジョンにいきなり吹き出してきたのか。あの後収まったようだったから良かったけど」

「そうですね。ノームさんなら何か知ってそうですけど。……そういえば、今日はノームさんが見当たりませんね。姿を隠しているのでしょうか?」


 ロゼッタが辺りをキョロキョロと辺りを見回すが、ノームは見つからなかった。


「ノームのじっちゃんなら、何か調べたいことがあるって出かけていったぜ」

「調べたいこと?」

「ああ。何でも、黒の瘴気とあの植物に関することなんだとか」

「そういえばノームさん、イビルローズのことを『魔界の花』と呼んでいましたよね。やっぱり何か知ってそうです」

「ま、戻ってきたら聞いてみようぜ」


 そう言ってルクスは紅茶の入ったカップに口を付ける。


 色々と解せないことはあるがノームに聞いた方が早いだろうと、ルクスは吟味を後回しにすることにした。


「と、ところで師匠」

「ん?」


 不意にロゼッタがおずおずといった様子で切り出す。


 妙に改まった感じだったので、何を言われるのだろうかとルクスは身構えたが、ロゼッタの口から出たのは実に乙女らしい内容だった。


「その、《白水晶の遺跡》へのデー……お出かけ、あんな感じになっちゃったじゃないですか? なので、また別の場所にお出かけとか、どうかなぁと」


 そういえばそうだったとルクスは苦笑する。


 そして、何かお勧めのダンジョンはあったかなと、頭を巡らせることになった。


   ***


 一方その頃、《白水晶の遺跡》第10階層にて。


「ふむぅ……」


 ノームがイビルローズの出現箇所の辺りをふわふわと飛び回っていた。


 ルクスがイビルローズを倒したためなのか、黒の瘴気は既に沈静化している。

 が、ノームは険しい顔を浮かべながらイビルローズがいた箇所を見つめていた。


「これはやはり、精霊が扱う魔力の痕跡じゃな……」


 ノームが感じ取った事実をポツリと漏らす。


「しかし、一体なぜ……」


 そしてノームは独り言を続けたが、その声に答えてくれる者はいなかった。



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