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最弱と呼ばれた少年、実は最難関ダンジョン攻略済み ~ダンジョン探索を楽しんでいたらエリートクラスの美少女から弟子入り志願されています~ 書籍化&コミカライズ化決定!  作者: 天池のぞむ
第2章 精霊と少年と少女と

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第23話 師匠の背中


「ほんとだ。ノームのじっちゃんが張ってくれた結界のおかげでなんともないや」

「凄いですね、ノームさん。生徒たちをあれだけ苦しめていた瘴気なのに」

「ほっほっほ。そうじゃろうそうじゃろう。仮にも精霊じゃからのぅ」


 《白水晶の遺跡》に入ってすぐ。


 黒い瘴気が煙のように漂っていたが、ルクスたちはそれに影響されず、ダンジョンの中へと入ることができていた。


「でも、かなり瘴気が濃いですね。早く残された生徒たちを探さないと」

「だな」


 言って、ルクスは懐から懐中時計を取り出す。


「ノームのじっちゃん。この瘴気の中、無事でいられるのはどれくらいの時間だと思う?」

「そうじゃの。先程入り口にいた者の話や諸々を考え、およそ30分といったところか」

「30分か……。よし、急ごう」


 ルクスの言葉にロゼッタが頷き、一行は足を早めた。


 と――。


「魔物――ッ!」


 ルクスがいち早くその存在に気づき、臨戦態勢を取る。


 いや、単に臨戦態勢を取っただけではない。

 ルクスは即座に魔法を発動させ、姿を現した獣型の魔物を一掃した。


 目の前に現れた脅威を退けたと思ったのも束の間、今度は群れで魔物が出現する。


「ロゼッタは左方の集団を頼む。あのデカいのは俺が対処する」

「了解です、師匠」


 二人は短く言葉を交わし、各々が魔物を処理していく。


「白の魔弾よ、貫け――!」

「《氷針の矢雨(アイシクルレイン)》――!」


 ルクスは前方に出現した巨大な蛇型魔物を、ロゼッタは左方に出現した中型魔物を。

 それぞれが高威力の魔法で敵の掃討を試み、すぐに辺りは静かになる。


 ――何故初級ダンジョンの第1層にこれほどの数の魔物がいるのかと。


 浮かんできた当然の疑問を吟味する時間すら惜しく、そして互いの健闘に称賛の言葉を向ける時間すら惜しく、ルクスとロゼッタは駆け出す。


 ただ、言葉は交わさずとも、ルクスとロゼッタが考えていることは一緒だった。


「《岩石墜下(ロックシャワー)》――!」

「《氷雪の旋風(アイスブリザード)》――!」


 残された生徒たちを、絶対に助けるという一心。


 ルクスとロゼッタはそんな決意を胸に抱きながら、第1層、第2層、第3層と破竹の勢いで進んでいく。


 黒の瘴気の影響か、はたまた別の影響か。

 初級ダンジョンでは普通見かけることのない高ランクの魔物が出現したが、それでも二人の進撃を止めることはできない。


 リベルタ学園で最高峰のAクラスに所属するロゼッタと、最底辺のFクラスに所属するルクス。


 もしその状況を見た者がいれば、恐らくこんな言葉を漏らしただろう。


 ――信じられない、と。


 なぜ最底辺のクラスに所属するルクス・ペンデュラムが、学園でトップクラスの実力を持つとされるロゼッタ・シトラスと肩を並べ戦えているのかと。


 いや、肩を並べているどころではない。


 高威力高難度の魔法の数々を操り、無双の強さを発揮するその様は、常識に照らし合わせれば異様な光景だった。


 しかし――。


(さすがですね。やはり師匠は師匠です)


 ルクスの実力を知り、背中を追い続けてきたロゼッタにしてみれば、それは至極当然のことである。


 切迫した状況であるにもかかわらず、信頼の置ける相手がいることはこうも心強いのかと、ロゼッタは実感していた。


 そして、その後も二人は数多くの魔物を屠りながらダンジョン内を駆けていく。


「ふぅむ。見事なもんじゃ」


 快進撃を続ける二人の背中を見ながら、ノームが感嘆の声を漏らしていた。



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