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最弱と呼ばれた少年、実は最難関ダンジョン攻略済み ~ダンジョン探索を楽しんでいたらエリートクラスの美少女から弟子入り志願されています~ 書籍化&コミカライズ化決定!  作者: 天池のぞむ
第1章 ダンジョンを愛する少年

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第15話 200階層攻略戦


【ノームの洞窟:200階層】


「ここが《ノームの洞窟》の200階層か。今までと雰囲気が違う場所だな……」


 スカルドラゴンに勝利した後。


 ルクスは遂に目標としてきた八大精霊ダンジョンの200階層へと足を踏み入れていた。


 それまではゴツゴツとした岩壁に囲まれていた地形だったのに対し、200階層は随分と異なる様相だ。


 まず目に飛び込んできたのは長く続く回廊。


 地面には黒い煉瓦のようなものが敷き詰められ、脇に並ぶ石柱には青い炎が煌々と灯っていた。


「洞窟の奥にこんな場所があるとは。《ウィルオウィスプの地下神殿》もこんな感じだったけど……。もしかしてダンジョンって全部こういう所に繋がってるのかな」


 ルクスは呟きつつ、足を進める。


 静かな空間に響くのは乾いた自分の足音だけ。


 幅広い一本道の回廊を進みながら魔物の気配を探るが、それすらも感じない。


 もしかして200階層には魔物がいないのだろうか?

 そんな考えがよぎる。


 そうして十分ほど歩き、ルクスは足を止めて周囲の様子を窺う。


 といっても、歩いてきたのは脇道すらない回廊である。

 やはり何かがいる気配はない。


「精霊もいないな。最下層なら出会えるかと思って期待してたのに……。いや、この奥にいるかもしれないし、まずは先に進むか」


 八大精霊ダンジョンには精霊が住まう、というのはリベルタ学園の生徒の間でも都市伝説のように語られていることである。


 ――曰く、精霊に会った者は大魔法を習得することができる。

 ――曰く、精霊がいたのは大昔のことで、今はもう存在していない。

 ――曰く、八大精霊ダンジョンで他よりも強力な魔法が習得できるのは精霊の影響であり、それほどまでに精霊の力は大きい。

 ――曰く、精霊は恥ずかしがり屋だから大人数で行くと会ってもらえない。

 ――曰く、精霊に会うと願い事が叶う。例えば好きな人と結ばれる。等々。


 そのような噂がまことしやかに囁かれていた。

 特に最後の噂は女子生徒たちの間で有名、というか人気である。


 未だ精霊に会ったことがあるという者は一人もおらず、それはルクスも同じ。

 しかし、だからこそルクスは200層に行けば精霊に会うことができるのではないかと密かに期待していた。


(そういえば、ロゼッタも精霊に会ってみたいとか言ってたっけ。やっぱり強い魔法とかに憧れてるんだろうか?)


 そんな的はずれな疑問を抱きながらルクスは歩を進める。


「ロゼッタ、残念がってたからなぁ。帰ったらロゼッタにも土産話をしてやりたいもんだ」


 今日は同行できないと言って、とても残念そうにしていたロゼッタの姿を思い出し、苦笑して――。


 その時だった。


 突然、ルクスの目の前の景色がぐにゃりと歪む。

 回廊全体がまるで生き物のように動き出したのだ。


「へ? な、何だコレ」


 ルクスもその光景に思わず声を漏らす。


 地鳴り音が響いたかと思うと、隆起した地面が津波のようにルクスへと襲いかかった。


「――っ」


 ルクスは咄嗟に地面に手をかざし、自身の前に巨大な土の壁を召喚する。


 激しく視界が揺れるが、土砂に埋もれることは逃れたようでルクスは安堵の息をついた。


 が、第一波を防いだと思ったのも束の間、今度は天井から土の波が押し寄せる。


「ま、まさかこれ、この回廊全体が魔物だったってやつですか!?」


 今度は風魔法を使用し、その場から逃れるルクス。


 それはまるで土砂が意思を持って襲いかかってくるようだった。


「さすが200層、今までとは段違いだ」


 その後も土の波の襲撃を受け、ルクスはそれらを間一髪で対処する。


 ルクスは迫りくる攻撃に翻弄されながらも、胸の内に高揚感を覚えていた。


「しかしこれ、どうすればいいんだ? 試しに壁を攻撃してみるか?」


 言って、ルクスはすぐ行動に移す。


 攻撃の間隙を縫って、《魔弾の射手(バレットコンダクター)》により辺り一帯に光の弾丸を打ち込んだのだ。


 ゴーレム種すらもたやすく撃ち抜く光の弾丸。

 が、それでも土の奔流は収まらない。


「――のわっ!」


 続けざまにルクス目掛け土の波が押し寄せてきた。


 恐らくはゴーレムやスカルドラゴンと同じく、本来無機物であるものが動いているのだろう。


 しかし、どうすれば無力化できるのかがルクスには分からなかった。


(くっ、何か有効な魔法は……)


 と、そこでルクスはあることを思い出す。


 それはいつぞやの、ロゼッタとの会話だった。


(そういえば、ロゼッタが《ウンディーネの大氷窟》を攻略した時……)


 ――なあ、何でロゼッタは何で水の精霊のダンジョンから攻略したんだ? 八大精霊ダンジョンは他にもたくさんあるのに。

 ――師匠が初めて攻略したのが《ウンディーネの大氷窟》だったからです。

 ――え? それだけ?

 ――いや、まあ他にも理由はありますけど。例えば、《ウンディーネの大氷窟》の第10層で習得できる魔法は、手っ取り早く敵を無力化させることにも使えそうでしたし。

 ――ああ、あれな。

 ――師匠は他にいくつも高威力の魔法を習得していますから、使う機会はほとんど無いと思いますけどね。


「……」


 ルクスは思考を急回転させ、その手段に辿り着く。


(そうか。この200階層の敵も、動くから脅威なんだ。だったら、動きを止めてしまえば……)


 迫りくる土の波を前に、ルクスはある魔法の使用を決断する。


 それはロゼッタとの会話でも話題に上がっていた、《ウンディーネの大氷窟》。

 ルクスがかつて、その第10層を攻略した際に習得した魔法だった。


 地面に手をかざし、ルクスは唱える。


「《絶対零度の息吹(コキュートス)》――」


 その魔法が発動されると、ルクスの周囲に氷結現象が生じた。


 それは放射状に広がり、押し寄せていた土の奔流ごと凍結させていく。


 程なくしてその氷結現象は回廊全体に及び、ルクスを除いて動くものはなくなった。


「これでクリア、かな?」


 ルクスは呟き、大きく息を吐く。


 そして、目の前には凍りついた200層の回廊が広がっていた――。




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