表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
最弱と呼ばれた少年、実は最難関ダンジョン攻略済み ~ダンジョン探索を楽しんでいたらエリートクラスの美少女から弟子入り志願されています~ 書籍化&コミカライズ化決定!  作者: 天池のぞむ
第1章 ダンジョンを愛する少年

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

11/78

第11話 八大精霊ダンジョン攻略へ


「ルクス君、これからダンジョン攻略に行くの?」

「ああ。明日は学校が休みだからな。今日はこの後ガッツリ潜ろうと思って」


 放課後――。


 ルクスは廊下を歩きながらコランと会話していた。


 珍しく昼休みも教室で過ごし、しっかりと昼食を摂ったルクスだったが、それにはわけがある。


 目標としてきた、《ノームの洞窟》200階層への挑戦――。


 今日はそんな節目の攻略を予定していたからである。


 既に197層まで攻略していたため、残るは198、199、200の3階層。

 それをルクスは今日で一気に攻略するつもりでいた。


「どのダンジョンに行くの?」

「ええと、ちょっと《ノームの洞窟》に」

「ノッ……!?」


 ルクスの答えを受けたコランが変な声を出して固まる。

 そしてキョロキョロと辺りを見回し、近くに誰もいないことを確認した。


「の、《ノームの洞窟》って、八大精霊が住まうとされる最難関ダンジョンの一つだよね?」

「んー、でも精霊なんて見たことないけどな」

「もしかして、いつもルクス君が昼休みや放課後にいなくなるのって……」

「そうなんだ。最近はそこの探索が楽しくて」

「はぁ……。ほんと、ルクス君って凄い人だったんだね」


 呆れと畏敬の念が入り混じった溜息を漏らすコラン。


 コランが今言ったように、八大精霊ダンジョンというのは、このリベルタ学園でも最難関とされている場所である。


 出現する魔物強敵揃いで数も多い。

 だからこそ、そこに潜るのが楽しいなどというルクスの発言は異常だった。


「それで、どのくらいの階層なの?」

「あー」

「5階層とか? も、もしかして8とか9まで行っちゃってたり?」

「内緒ということで」


 ダンジョンの階層は最大で10、というのがこの世界での常識である。


 コランにしてみれば、まさかルクスが197という馬鹿げた階層まで到達しているとは思わない。


 話すとまた驚かれそうなので、ルクスは笑ってごまかすことにした。


「あ」


 と、進む先にいた人物を見てルクスが声を漏らす。


 そこにはリベルタ学園副生徒会長、ロゼッタが立っていた。


「ししょ……コホン。ルクスさん、ちょっとよろしいですか? ご友人の方、すみませんがちょっとこの人をお借りしますね」

「お、おい」


 ロゼッタはコランに向けて一礼すると、ルクスの服の袖を掴んで歩きだす。


 そして、階段下の人目につかないところまでやって来て振り返った。


「すみません師匠。突然お呼びして」

「どうしたんだ、ロゼッタ。また一緒にダンジョンに行きたいとか?」

「いえ、そうしたいのはとっても、すごく、すごーく山々なんですが。実はこの後生徒会の公務が入ってしまって……」

「あ、そうなのか」

「残念ながら……」

「律儀だなぁ。そんなことわざわざ伝えに来なくても――」

「ハァ……。あの生徒会長、よりにもよって今日仕事を振らなくていいのに」

「聞いてる?」


 どうやら同行できないのがよほど残念らしい。

 ロゼッタは曇った表情で深い溜息をついている。


 そんなロゼッタを不憫に思い、ルクスはある提案をすることにした。


「まあ、そんなに落ち込むなよ。この前お勧めのダンジョン見つけたからさ。明日の休日とかで一緒に行こうぜ」

「行きますっ!」

「声でっか」

「や、約束ですよ師匠。絶対、絶対ですよ!」

「わ、分かった分かった」


 ロゼッタは興奮した様子でルクスに詰め寄る。


 どうやら彼女の中で先程のルクスの言葉は「明日デートに行こう」と同義だったらしい。


 「これで仕事も頑張れます!」と言い残し、ロゼッタは去っていった。


「ルクス君、もういいの?」

「ああ。どうやら簡単な報告をしに来ただけだったらしい」


 コランの元まで戻り、ルクスはやれやれと頭を掻く。


 と、ルクスが向き直ると、コランは呆然とした様子だった。


「どした? コラン」

「いや……。あれ、ロゼッタ副生徒会長だよね? あの学園トップクラスの実力って言われてる。ルクス君、知り合いだったの?」

「ん、まあ、そんなところかな」

「ハハ……。なんかもう、あんまり驚かないや」


 そう言って、コランは乾いた笑いを漏らしたのだった。


   ***


「それじゃあ、行くか」


 コランと別れた後で。


 以前ロゼッタと来た際に記録しておいた転移術式を使い、ルクスは《ノームの洞窟》197階層までやって来ていた。


「よっし。今日こそ目標の200階層を攻略してみせるぞ!」


 意気揚々と岩壁に囲まれた洞窟の中を進むルクス。


 そうして、ルクスの八大精霊ダンジョン攻略が始まろうとしていた。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。

本作の小説第①巻が発売です!
書籍化に際して大幅改稿していますので、WEB版をご覧の方もぜひお楽しみください!
※画像を押すと販売ページに移動します。無料試し読みも可能です!

最弱と呼ばれた少年、実は最難関ダンジョン攻略済み

― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ