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佐々木桜と文房具  作者: 豊
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佐々木桜と消しゴム⑤

 三限目の授業の内容は国語、空は秋晴れ、心地よい風がカーテンを揺らし、教室内は生徒達が黒板に書いてある授業内容をノートに書き写している。


 佐々木桜もノートに授業内容を写している。書き間違った部分は消しゴムで消し、次の内容を書いていく。どにでもある授業風景だ。


 『なぁ、消しゴム、なんていったらいいかわかんねーんだけど、動かずどっしり構えている姿は貫禄があるぜ』


 『なんかすいません!』新人消しゴムが、俺に謝罪してくるが、どう返答すればいいのか。無言はなにか違うし、気にしていないは嘘になる、羨ましいと正直な気持ちを吐露すればいいのか、しかしそれもなにか違うような気がする。


 「問題ない」結局行きついた言葉一言だった。


 新人消しゴムとの出会いは突然だった。自室に入ってきた持ち主が、筆箱の中に新人消しゴムを入れて去っていったのだ。


 「・・・」突然の出会い、お互い終始無言で気まずい雰囲気のなか、「おいおい、新人じゃねーか、よろしくな俺は鉛筆だ」こういう時、鉛筆のマイペースぶりは助かる。


 「よろしくお願いします!今日から同じ筆箱仲間になる、アヒル消しゴムです!」


 アヒルの形をした消しゴム、キャラクター消しゴムというやつだ。「よろしくな」一言挨拶をかわし、気まずい雰囲気を感じ取ったのか、色々と喋りかけてくれるのだが、俺は何故消しゴムが増えたのか、そっちに意識が集中して何を話したのかあまり覚えていない。


 「明日から楽しみです!」気が付けば鉛筆との楽し気な会話が続いている。上の空でまともに会話ぜず、俺はかなり嫌な消しゴムではないだろうか。悶々とした気持ちで次の朝を迎え今に至る。


 持ち主はアヒル消しゴムで文字を消していく、顔から躊躇なく使うので、見た目はかなり大変な事になっている、『顔から使うんですか!?普通は体から使うものでは!?顔が大変な事になってます!』キャラクター消しゴムというのも、大変だなと思う。


 「あ!桜ちゃんその消しゴムどうしたの?」隣の席のクラスメートの女の子だ。


 「貰った」一言だけ返してアヒル消しゴムの顔を使って、文字をけしていく。


 「そうなんだ、でも躊躇なく顔から使うんだね」クラスメートの女の子は、不思議そうに持ち主に問いかけた。「消しゴムに顔とか不要」そう言って、アヒル消しゴムの顔で文字を消す持ち主。


 アヒル消しゴムが悲しいそうな表情をしている様な気がする。鉛筆も終始無言だ、流石の鉛筆もかける言葉が無いようである。


 消しゴムとしての役割を果たせているのはやっぱり羨ましいな、そう思った。


 

 


 


 

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