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ぶ、ブクマ数が増えてる…!ありがとうございます頑張ります(涙)

今回、やっとこさお兄様登場です。私の性癖詰め込んでおりますご注意を。

「ど、どうしてお兄様がこちらに…?」


 わたくしの唯一の家族であるお兄様の名はノクス・ロサノワール。白銀の髪にブルーサファイアの瞳を持った大変麗しき顔をお持ちになっている美青年だ。片方だけ髪の毛を耳にかけており、そこで揺れるピアスが余計にその美しさを引き立てている。


 正直に言おう。我が兄ながら、ものすんっっっごい美しい。


「どうしてって、今日はフルールの入学式でしょ?兄として顔を見せるのは当然のことじゃない」

「は、はあ…」


 いやいやいや。お兄様は今は公爵の引継と魔術師団のお仕事で忙しいはずで、わたくしのもとへは来られないはずでは!?確か前回は、手紙とたくさんのプレゼントで泣く泣く諦めていた気が…。


 まあ、忙しい中来てくださったお気持ち自体は嬉しい。いや、嬉しくないけど、ありがたいという意味では嬉しい。


 でもやはり、お忙しいお兄様のお手を煩わせるわけにはいかない。別にわたくしは初めての入学式というわけでもないんだし、ここは丁重に早めにお引き取りいただこう。


 ということで、わたくしはにっこりと微笑んだ。


「お忙しいお兄様がわざわざいらしてくださるなんて、わたくしとても嬉しいです」

「いいんだよ、他でもない可愛いフルールのためだもの。私の、大切な」


 私の、大切な!?今、さりげなくそこを強調しましたね!?


 が、頑張るのよフルール。やはりお兄様は危険だわ。全力で逃げ切らなければ…。


「まあ、お兄様。わたくしのことをそんなに…でも、わたくしもお兄様のお手を煩わせるのは本意ではございませんの。だってお兄様、とってもお忙しいでしょう?わたくしもお兄様のことが大切ですから、そんなお兄様のお邪魔にはなりたくありませんのよ。だから、こうして朝お顔を拝見できただけでも幸せですわ」

「ああ、可愛いフルール。そんなに私のことを…!」


 ふふ、完璧だわ。わたくし、やり遂げましたわ。


 わたくしの言葉がそんなに嬉しかったのか、お兄様は口元に手を当てて感動していらっしゃる。


 ええ、ええ。そうでしょうとも。嘘だけではなく、きちんと本音も混ぜ込んだのだから。信じさせるには真実を絶妙に折り込むのがポイントと以前王妃教育のどこかで習ったわ。ありがとう、王妃教育。碌に覚えていないけれど!


 それにしても、ただ感動しているだけなのにお兄様から漂う色気がおかしい。目元が潤んでいて、見ているとそのまま吸い込まれてしまいそうな…。そう、まさにこんな感じで、お兄様の方へ吸い寄せられて…って、


「お、お兄様!?」

「はあ…今日も妹が可愛すぎて辛い。どうしたのフルール。いつも可愛いけれど、今日は一段と素直で可愛いね。そんなにお兄様のことが好き?」

「お、おおおお兄様、な、なんで、」


 錯覚じゃなかった。実際に魔術で吸い寄せられていたわ!


 お兄様の腕の中にすっぽり収まってしまったわたくし。お兄様の体温とちょっと速めの心音、それから、ほのかな甘い花のような香りが漂ってきて、免疫のないわたくしはくらりときてしまう。


「…ねえ、フルール。本当に学園に行くの?」

「も、もちろんですわ。どうしてそんなことを仰いますの?」

「……お兄様は心配なんだ。こんな可愛いフルールを野蛮な狼共の前に放り出すなんて…。やっぱり嫌だな…。ね、どうしてもダメ?お勉強ならお兄様が教えてあげるから、今までどおりずっと家にいよう?」

「はぅ」


 抱きしめながら、お兄様は耳元で囁いてくる。


 と、吐息が!唇が!お兄様が話す度に、耳に当たって…!


 否応なしにドキドキし、下腹部が熱くなってしまう。どうしよう、これじゃ痴女同然だ。顔も熱くて、目元も潤んでしまっている気がする。


「ね、お願い」

「〜〜〜ッ」


 極め付けに、耳たぶをはむってされた。おかげですっかり力が抜けてしまったわたくしは、かろうじて首を横に振って意志を示すことしかできない。


 な、何だこの色気は。わたくし、今までお兄様とこんな触れ合いをしたことなんてありませんでしたわよ!?…え、な、なかったわよね?なかったはずだわ!


 でも、負けられない。だって、学園に行かないなんてとんでもないこと。わたくしは、今度こそ立派な王太子妃になるため、少しでも多くの方に認めてもらわなければならないのだ。


 …いや、王太子自身に認めてもらえればいいわけだから、最悪学園には行かなくてもいいのか?あれ、そうすると、むしろ聖女に関わらないよう学園には行かない方が安全なのでは…?


 そう思いかけ、頷こうとしたところでわたくしは思い出す。学園の卒業は貴族として一つのステータスだ。というか、貴族なら卒業していて当たり前という暗黙の了解がある。だから、王太子妃として認められる条件として、学園の卒業はあって当然のもの。


 であれば、王太子妃を目指す身としては当然卒業しておきたい。聖女を恐れて引き篭もっている場合ではないのだ。


 だから、頷きそうになった首を必死に固定し、お兄様から距離を取る。


「…お気持ちは嬉しいのですが…わたくし、学園は卒業したいです。由緒あるロサノワール公爵家の者が学園を卒業していないなんて、そんな恥晒しにはなりたくありませんわ。そんなことになったらわたくし、恥ずかしくてお兄様に顔向けできません」

「フルール…そっか、わかった。私も、フルールに肩身の狭い思いをさせたいわけじゃないからね。別に、学園を卒業していないくらいでとやかく言う奴らは私が黙らせるし、私自身は全く気にしないから、フルールが気にする必要は全くないんだけど…」

「………」


 黙らせる…それはもしや、物理的にということでは…?


「まあ、フルールがそこまで言うならしょうがないな。でも、その代わり毎日の登校は私と一緒にしようね。本当は下校時も一緒がいいんだけど、仕事的にそこまでは難しくて…」

「いいえ、いいえ!お兄様はご多忙なのですから、お気持ちだけで十分嬉しいですわ!そんな全然、全然お気になさらないでくださいませ!」

「んー、そんなに遠慮されるとますます離したくなくなるんだけど…」

「…ノクス様、そろそろお嬢様のご出発の時間です。ご準備を」


 モカ、ナイス…!


「はー…わかったよ。フルール、行こうか。学園まで送るよ」

「はい、ありがとうございます」


 モカのナイスアシストにより、なんとかお兄様の気を逸らすことができた。毎朝一緒というのは声を大にして変えていただきたいが、学園に通うのすら却下になりそうな今、贅沢は言わない。一緒に登校することくらい我慢する。


 …取り敢えず、学園には通えそうかな。第一関門突破ということで、わたくしは密かに胸を撫で下ろしていた。

お兄様、存在がR-18な気がしてきました。いや、この小説はR-15なんですけど…。

お兄様、いかがでしたでしょうか?

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