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※R-15注意です※
さて、わたくしが夢の中に旅立ち、暫く経った頃。
「あれ…フルール寝ちゃったの?」
「はい、今日はお疲れだったようで、半刻ほど前に」
「しょうがないなあ…」
いつもの時間に、おやすみのキスをしにお兄様が部屋にやって来ていた。
ベッドで寝ているわたくしを見て、お兄様は苦笑いをする。ゆっくり近づいては、そっとわたくしの頭を撫でた。
その眼差しはとても柔らかくて。わたくしが起きている時にもその微笑みを見せてくれればきっとわたくしも少しは警戒を解くだろうに、きっと無意識なものなのだろう。
「…まあ、しょうがないよね。契約できて、かなり喜んでいたんじゃない?」
「それはもう、帰ってきてからは終始ご機嫌でしたよ。ノクス様にも見せたいと頑張って起きていらっしゃったのですが、眠気には抗えなかったようで」
「そう。フルールが喜んでいたならよかったかな」
「そうですね」
「……で、それは別として」
お兄様はわたくしの頭を撫でるのをやめると、ふと視線を別のものに向けた。
視線の先には、わたくしが抱きしめている真っ黒なもふもふの狼。
「……なんでお前がフルールと契約している?ミエル」
そう、お兄様が言った時だった。
「それは勿論、契約しに来たからに決まってるでしょ?お・に・い・さ・ま」
狼だったエルが、人型に変身した。
いや、違う。人型に戻ったのだ。人型に戻ったエル…いや、ミエルは、笑みを浮かべながらお兄様を見上げた。
それを見て、お兄様はぴくりと眉を動かす。
「お兄様が枷を外してくれたおかげで僕も漸くこちらに来ることができました。最初の契約は、精霊の邪魔をするのに手一杯でしくじりましたが…ありがとうございます」
そう言いながら、ミエルはギュッとわたくしを抱きしめる。
「………」
「おっと。僕を引き離すのは簡単でしょうけど、そんなことしたら僕のご主人様を悲しませてしまいますよ?僕と契約できたってすっごく喜んでくださっていたから、きっと、朝起きて僕がいなかったらがっかりするだろうなあ…まさかお兄様は、お兄様の大事な人にそんな酷いことはしませんよね?」
「………」
両者が睨み合う。先に逸らしたのはお兄様だった。今回は分が悪いと思ったのだろう。
その代わり、黙ってそのままわたくしにキスをした。
「……この子は私のだ。手を出したら殺す」
「あはは、怖い怖ーい」
そう言うが最後、お兄様は部屋を後にした。残ったのはモカとミエル。
「…ミエル様、何かお飲みになりますか?なるなら用意いたしますが」
「ううん、大丈夫。契約結んでるとそんなに空腹感とか感じないみたいなんだよね」
「そうですか、わかりました」
「それより、さっきは名前ナイスだった。愛称で呼んでもらえるなんていいね!エル…素晴らしい名前だよ」
「喜んでいただけたなら何よりです」
では、私はそろそろこれで。
そう言って、モカは部屋を出ていった。残されたのは寝ているわたくしと、人型のままのミエル。
ミエルはそのまま、わたくしにギュッと抱きついた。
「…はぁ、やっと会えた。ずっと、ずっとお会いしたかったです…思ったとおり…いや、想像以上に、素敵な人でした」
わたくしの胸に顔を埋め、ミエルはそのままわたくしの匂いを嗅ぐ。
すると何を思ったのか、そのまま腰をわたくしに押し付けて動かし始めた。
「はあっ…はあっ…」
「ん、んぅ…」
「…ふふ、寝ながら感じてるの?可愛い…っ、あ」
暫くその行為を続け、ミエルはピンと痙攣したかと思うとそのまま脱力した。
切れた息を整うと、そのままわたくしに触れるだけのキスをする。
「…大好きです。きっと僕のお嫁さんになってくださいね。ね、お姉様」
そう囁くと、ミエルはもとの黒い狼の姿に戻り、何事もなかったかのように眠り始めた。
もちろん寝ていたわたくしは、これら全てのことを知る由もなかったのだった。
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さてさて、作っていたストックはここまで。
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