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更新再開しました!月末は仕事に追われていてこちらを書く余裕がなく…(汗)
またどうか、よろしくお願いいたしますm(_ _)m
「…顔を上げて、ロサノワール公爵令嬢」
そう言われ、恐る恐る顔を上げる。怖い顔があるかと思いきや、その予想は外れ、王太子は優しく微笑んでいた。
それを見て、わたくしは目をぱちくりさせる。怒って、いない…?
「ここは学園だし、気にしないで。それに、そんなにかしこまらないでもらえると嬉しいな。僕もここでは、ただの学生の一人にすぎないのだから」
「いえ、ですが…」
「もともと、堅苦しいのはそんなに好きじゃなくてね。城にいると嫌でも王太子にならないといけないから、ここでは気を抜くことにしているんだ。それとも、貴女はそれじゃ嫌かな?」
ちょっと首を傾げるのと同時に、サラサラな金糸が横に流れる。
…そうだったわ。このお方は、昔からこういう方だった。王族なのに、昔から偉ぶらず、婚約者のわたくしに対しても私的な場では同じ立場の人間として接してくださった。
婚約者として隣にいた期間は長いのに最後の一年を殆ど一緒に過さなかったせいか、そんなことでさえもとても懐かしいことのように感じる。
わたくしは、本を持ちながらカーテシーをした。
「いえ、そんなことはございませんわ。わかりました。殿下の寛大なご対応、感謝いたします」
「ふふ、貴女は真面目だね」
「真面目…ですか?」
驚いた。真面目なんて、前回も今回も言われたことがない。寧ろモカには毎日のようにもっと真面目に取り組んでくださいとお小言を言われていたくらいだし、わたくし自身も、自分のことを真面目とは対極の人間だと思っている。
が、ここで気づいた。そっか、もしかして放課後に残ってまで本を探しているから、それでかしら。確かに今のわたくしを見れば、真面目と捉えられてもおかしくはない。
「本、ここで読むの?」
「はい、少々調べたいことがありまして」
「そっか。それじゃあ、そこまで僕が持って行くよ。ご令嬢に重たいものを持たせるわけにはいかないからね」
「…では、お言葉に甘えて」
ここで断るのは淑女としてどうだろうと思い、素直にお願いすることにした。初心者向けの薄い本三冊でも、普段宝石より重いものを持たないわたくしにとっては結構な重量なのだ。
共有スペースにある机に本を置いてもらい、わたくしはそのままお礼を言った。そこでお別れかと思いきや、なんと王太子はその隣に座ってきて…。
「?殿下は本は選ばれないのですか?」
「うん、今日はたまたま散歩していただけなんだ。今暇だし、良ければその調べ物、僕も手伝っていいかい?」
「え」
座った殿下に見上げられて戸惑う。それは、とても助かるお申し出だけれど、さすがにそこまでしていただくのは…。
そう思いかけて、わたくしははっとする。
───これは、殿下と仲良くなる最大のチャンスなのでは!?わたくしから近づくどころか向こうから近づいてくるなんて、こんなの葱が鴨…じゃなかった、鴨が葱をしょってきたようなものじゃない!
そう思い至ったので、わたくしは笑顔で承諾した。
「まあっ、殿下にお手伝いいただけるなら百人力ですわ!ぜひぜひお願いいたします…!」
「そんな大袈裟な。でも、貴女の力になれるのなら喜んで」
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