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 図書館までエリス様に送ってもらった後、エリス様とはそこで別れた。今日は精霊と契約した報告として登城しなければならないらしい。本当は玄関でお別れするつもりだったのだが、「何かあったら危ないです!」と主張するエリス様に負けてここまで送ってもらったのだ。


 エリス様はわたくしを一人にすること自体を懸念しており、別日にできないかとも言ってくれたのだが…モヤモヤしたままなのは嫌なので、今日調べられるなら調べてしまいたい。


「…にしても、なかなかに探すのが大変ですわね」


 前回は図書館なんて来たことがなかったから知らなかったが、学園の図書館はかなりの蔵書数を誇っているらしい。以前気まぐれで入った我が公爵家の図書館に引けを取らない大きさだ。


 取り敢えず、簡単そうな本から調べてみようと何冊か選んでいく。が、ここで問題が発生した。


「………」


 ……と、届かない。


 背伸びをして手を伸ばすのだが、取りたい本にギリギリ届かないのだ。


 まさか、本を取るのがこんなに難しいだなんて。いつもはモカが何でもしてくれるから、すっかり失念していたわ…。


 残念なことに、周りに人はいない。家に帰ってそっちの本を探すという選択肢もあるが、それだとお兄様に動きが筒抜けになってしまうのでできれば避けたい。わたくしが急に魔術の、しかもピンポイントで契約時の魔法陣の違いについて知りたいなんて、記憶がありますよと主張しているも同然だ。


 …しょうがない、既に選んだ本だけで我慢しましょう。


 そう思ってわたくしは手を下ろそうとした。が、そうしようとした途端、後ろから手が伸びてまさにその本を取ってしまった。


「はい、どうぞ」

「あ、どうもありが───」


 そう言いながら振り向いたところで、わたくしは固まった。


「る、ルイ様…」

「え」

「あっ…」


 わたくしに本を取ってくださった方は、わたくしの声を聞いて大きく目を見開いた。そこでわたくしは初めて、自分がその方の名前を呼んでしまったことに気がついた。


 慌てて頭を下げる。


「も、申し訳ございません王太子殿下。本を取っていただいただけではなく、不適切な発言まで…どうか、どうかお許しくださいませ」


 わたくしに本を取ってくださったのは、会いたいと渇望していた王太子ご本人。いや、確かに会いたいと思って、今日のお昼にエリス様に探りを入れたばかりですけどね。


「(な、なんでルイ様がこんなところにいらっしゃいますのよー!?)」


 こういう不意打ちでの対面は望んでいなかった。うっかり前回の癖で、ルイ様とお呼びしてしまったじゃない!!


 王族をいきなり名前で呼ぶなんて不敬罪もいいとこだ。婚約者になるどころか第一印象最悪で一気にその座から遠ざかった。というかもしかして何かお咎めが…!?


 望みに望んだ王太子との初対面。あまりの不意打ちの出来事に、わたくしは最悪の出会いにしてしまった。


短くてすみません。やっとこさ王太子の登場です。

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