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「ふんふふんふふ〜ん」
「…楽しそうですわね、エリス様」
お昼休みが終わり、今は午後一番の授業の真っ最中。第二ホールに来たエリス様は、この授業をよほど楽しみにしていたようでそれはそれはご機嫌だ。自作の鼻歌まで歌っている。
「もちろんですよ!なんて言ったって、精霊契約ができれば魔術が使えますからね。そうすればいついかなる時もフルール様をお守りできます…!」
「…そ、そう。それは頼もしいですわ」
拳を握り、メラメラと闘志を燃やしてやる気に満ち溢れているエリス様。とても、とてもありがたいのだけど、気迫が本物すぎてわたくしは思わず一歩下がってしまった。
人間は精霊と契約することで初めて魔術を扱える。それは人間自身に魔力を扱う力がないからだ。だから、契約する精霊によって使える魔術の大きさが決まってくる。
エリス様は確か前回は、光の上位精霊と契約していた。上位精霊と契約できる人間はかなり限られていて、たいていが中位精霊や下位精霊と契約する。他に上位精霊と契約していた人と言えば、王家の人間である王太子と、あとは天才魔術師と呼ばれているお兄様だ。ちなみにお兄様は闇の最上位精霊と契約していたと聞いている。
「…皆、次々に契約していっていますわね」
魔法陣の前に並び、その順番に契約している。火、水、土、風の四つの属性が大半で、時々亜種として複数属性持ちが現れる。光と闇は更に稀だ。クラスメイトを見ると、火、水、土、風のどれかの属性のようだ。なお、自分がどの属性なのかどうかは契約する精霊によってわかる。
そしてとうとう、エリス様の番が回ってきた。聖女であるエリス様は光属性であることが既にわかっている。そして、聖女に認められるほどなのだから力の強い精霊と契約するだろうということで、皆エリス様が魔法陣に立った途端静かになり、固唾を飲んでその様子を見守っていた。
エリス様が精霊召喚の呪文を唱える。すると魔法陣が黄金色に輝き、大きな風が魔法陣から吹き渡った。
「お呼びでしょうか、我が主」
「…エリスさんは光の上位精霊と契約ですね。流石聖女です」
「!はい。ありがとうございます!」
現れたのは長い金色の髪をセンターで分けている人型の精霊。真っ白の衣に身を包んだ、いかにも光属性といった姿をしている。
礼儀正しい精霊のようで、エリス様に向かって綺麗なカーテシーをした。
…エリス様のカーテシーのレベルが高いのは、もしかして前回この精霊に教えてもらったからではないだろうか。
と、どうしようもないことを考える。エリス様が終わったので、次はわたくしの番だ。最後に並んでいたので、どうあがいてもどう粘ってもわたくしの番である。
───……いい加減、覚悟を決めましょう。
わたくしは、エリス様が精霊と話して戻ってこないうちに魔法陣に入った。エリス様も聖女なので注目されたが、わたくしも同じくらい注目を受ける。なぜならロサノワール公爵家は闇魔術の家系。
光魔術と同じくらい…いや、それ以上に珍しい属性のため、どのような闇の精霊と契約するのかと気になるのは当然だろう。また、兄があの天才魔術師ノクス・ロサノワールなのだから、尚更。
…でも、生憎闇の精霊を見ることはできないだろう。なぜならわたくしは、前回精霊と契約することができなかったのだから。
だから、精霊契約の儀式には参加したくなかったのだが…いつまでも逃げるわけにもいかない。
わたくしは、小さく深呼吸をした。
「……我に従うべき魂よ。異界より姿を現し、今こそ我の前に跪け」
呪文を唱えた。だが、反応するはずが…、
「…っ、え…」
「……ロサノワールさんは、残念ながら契約できなかったようですね。まあ、そういう人もいますので、あまり落ち込まず。もう一度試してみることもできますが───……」
わたくしは固まってしまった。そんなわたくしを、契約できなかったことにショックを受けたと捉えたのだろう、担当教師は気遣わしげに再挑戦を提案してくる。
「…いえ、結構ですわ」
だが、わたくしはそれを断った。別に、精霊と契約できないのは予想済みだ。だから、それ自体は別に…まあ、契約できたらいいなとちょっとは思わなくもなかったが、なんてことはない。問題なのは…。
「…魔法陣が、反応した…?」
前回、呪文を唱えても全く反応しなかったのに、今回は、きちんと魔法陣が闇を表す黒色に光ったのだ。それどころか風も吹き上がった。結局は契約できていないから結果としては同じなのだが、この違いは何なのか。何か意味があるのだろうか。
魔法陣から立ち去り、わたくしは一人そのことについて考えていた。そして、同じくわたくしと同じように考えているのがもう一人。
「………」
エリス様も同じように顎に手を当てて考えていた。その顔には珍しく眉間に皺が寄せられている。その横にいるエリス様の精霊に至っては、
「…あら?もしかして…」
驚いたようにわたくしのことを見つめていたのだが、自分のことに精一杯のわたくしはそれらを見ることは叶わず。
ただただ、前回との違いに困惑していた。
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