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ブクマ数が80を超えました…!

合計PV数も10000を超え、ユニーク数ももうすぐ2000になります。

投稿を始めてから2週間、まさかこんなにもたくさんの人にご覧いただけるとは思わず…本当にありがとうございます!

 あれからわたくしの日常のルーティーンはこう決まった。


一、朝はお兄様と一緒に登校し、いってきますのキスをする。

二、お昼ご飯はエリス様の手作りお弁当を食べる。

三、夜はお兄様とお話しし、おやすみなさいのキスをしてもらってから寝る。


「おかしいわ。どうしておやすみなさいのキスが増えているのかしら」

「それはお嬢様がチョロいからですね。……もともとありましたし」

「?何か言ったかしら」

「いいえ、何も。ノクス様も目に見えるように愛情を伝えることにしたのでしょう」


 というのが今朝のモカとのやり取りだ。本当にいつの間にかおやすみなさいのキスが日常化していた。もちろん、唇ではないけれど…お兄様にキスされると、唇にされた時のことを思い出して必要以上にドキドキしてしまうから困る。主に恐怖の方で。目を開けながら眠れるという特技を持つわたくしは、それでも眠れるので睡眠に問題はないのが幸いだ。


 それで、いってらしゃいのキスはわたくしが主張した結果馬車の中で行い、お昼ご飯はエリス様に連れられて毎回色々な場所で食べている。毎回あーんをされるものだから、いい加減わたくしももう慣れた。今ではエリス様にあーんをし返すほどだ。


 今日のお昼ご飯は裏庭のガゼボで食べている。木々に囲まれていて人気も少なく、落ち着いて食べるには絶好の場所だ。小鳥の囀りが聞こえるのがまたいい。


 そんなのどかな場所で、今日も今日とてわたくしはエリス様にあーんをされている。…いえね、それはいいのだけど…。


「…ねえ、エリス様」

「はい?あ、卵焼き食べます?今日のはほうれん草を入れてきたんです!はい、あーん」

「あーん」


 エリス様はサンドイッチ以降、卵焼きやら小さいハンバーグやら、何やら変わったお弁当を作って来てくれるようになった。とても変わったお料理ばかりだけど、美味しくて気に入ったのであれ以降作って来てもらっている。


 特にお気に入りは卵焼きとたこさんウインナーだ。ウインナーがたこになっているのを見た時はあまりの衝撃に言葉を失った。それこそ、帰ってからうちのシェフを呼び出してつい教えてしまったほどだ。


 …いや、そうじゃなくて。


「…あのね、エリス様。貴女、王太子殿下のことはいいの?」


 そう。わたくしはずっと気になっているのだ。学園に入学してから既に5日経ったが、エリス様が王太子と会っている様子は全くない。ゆえに、わたくしも入学式以来全く会えずにいる状態なのだ。エリス様を介して王太子と会えると思っていたのに、なぜ?


 こういうこともあるかなと数日様子を見てみたが一向に会える気配がないので、入学5日目にしてついに聞いてみた。エリス様はそれに対し、きょとんと小首を傾げている。


「え、殿下ですか?どうしてです?」

「だって、聖女は普通王家が保護をするのでしょう?となると、今は王太子殿下が学園内にいることですし、てっきり一緒に行動するものなのかと…」

「ああ、そういうことですか。確かに私、時々登城しなければいけないんですけど…」


 ああ、やはり。学園で接触はないけど、王家に保護されているのは今回も変わりはないようだ。だが、時々?前回は確か、ほぼ毎日のように登城していなかっただろうか。


 エリス様はフォークを持ったまま、考えるように視線を上にやる。


「フルール様の仰るように、聖女として最初王宮に行った時、学園内では王太子殿下と行動するように言われたんですよ。聖女を守るためだ〜とかなんとかで」

「そうよね。なんて言ったって女神様の生まれ変わりですもの。しかも、200年ぶりの」

「そうみたいなんですよねえ。私も言いたいことはわかるんですけど、でもそれって、正直学園内でまで一緒にいる理由にはならないと思うんですよ。そもそも学園には強力な結界が張ってあるので、よほど危険なことはないと思いますし」

「…でも、獣がいるのでしょう?それならやはり、結界があっても危険ですわ」

「……そうでしたね。いえ、そうでした。…はあ、フルール様が可愛すぎてどうしましょう…」

「…えっと…?」


 エリス様は顔を両手で覆って呻き声を上げ始めた。どうしましょう、わたくし、何か困らせるようなことを言ってしまったのかしら…。


 と思ったところで思い至った。そうだわ、エリス様は…、


「…エリス様は獣に立ち向かえるほどお強いんですもの、それは大した問題じゃございませんわよね。ごめんなさいエリス様、わたくしうっかりしておりましたわ。すっかりわたくしの基準で考えてしまい…」

「……いいえ、いいんです。フルール様はどうか、どうかそのままでいてくださいね。それに獣は、私はあまり狙われないと思いますし…」

「?そうなの?」


 なるほど、どうやら獣は強い力を持つエリス様を見分けられるらしい。きっと恐ろしく知能が高いのだろう。それならますますエリス様の側にいた方がよさそうだと改めて心に決める。


 エリス様は話を戻すよう、コホンと一つ咳をした。


「…なので、これは恐らくなんですけど。私を守るためというのは表向きの理由で、本来の理由は…」


 ここで、エリス様は一度会話を止めた。そして周りに人がいないかを確認すると、身を乗り出し、小さな声で言ったのだ。


「…王太子殿下と恋仲にするため、なのではと」

「え…」


 身体中の動きが止まった。心臓だけが動いていて、ドクドクと動く音がやけに大きく聞こえる。


 ───殿下と恋仲になることを望まれている?城の上層部に、エリス様が…?


 それはわたくしにとって、あまりに残酷な言葉だった。

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