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お昼に聞いてみたところ、エリス様の年齢はやはりわたくしの一つ下らしい。本当は来年入学する予定だったが、エリス様の希望で一年早く入学してきたのだとか。前回はわたくしの在学中に聖女が発見されていたから、一年早く聖女としての力に目覚めていることになる。…やはり、彼女に前回の記憶があるからなのだろうか。
わたくしは結局、エリス様に前回の記憶があるのかどうか聞けなかった。時々零す発言から、恐らく逆行前の記憶があると思われるのだけど…わたくしは、怖くなってしまったのだ。エリス様に、わたくしにも記憶があると知られてしまうのが。
だって、そうすれば必然的にエリス様に伝わることになるのだ。わたくしは、前回エリス様を殺そうとしたあのフルールと同一人物だと。
「それでですね、フルール様。私もぜひ今度…って、フルール様…?」
「え…あっ、ごめんなさい、何だったかしら?」
「…大丈夫ですか?なんだかボーッとしていらっしゃいますね。もしかして、どこか具合が…」
「あ…ちょっと疲れてしまっただけですわよ。なにぶん、こんなに長時間外にいたことなんて滅多になかったものですから…」
授業が終わり、玄関に向かう途中で。エリス様に話しかけられて、わたくしは沈んでいた思考の海からはっと引き戻された。
いけない、気づいたらエリス様のことを考えてしまっている。これでは心配をかけてしまうと、わたくしは安心させるよう笑顔を作る。
「…確かに、フルール様はほとんど外には出られませんものね。今日は本格的な授業はなかったら良かったですが、明日からは本格的に始まるでしょうし…その時は遠慮なくおっしゃってくださいね。私が責任を持って保健室までお供します!」
「ありがとう、エリス様。でも大丈夫ですわよ。わたくし、授業はきちんと受けたいんですの。本当に具合が悪くなった時はお願いしますわね」
「フルール様、なんて真面目な…!じゃあ、保健室に行きたくなったらすぐに仰ってくださいね!私、すぐに、すぐにお連れしますので!!それで、ベッドに横になるフルール様にあわよくば…って、あれ?なんだか凄い人だかりができていますね」
わたくしたちが向かっている玄関の方向に、何やら凄い人だかりができている。女子生徒が若干多いが、男子生徒も同じくらいいるようだ。
「…何かしら?誰か有名人でも…」
と言いかけたところではっとした。有名人、それはもしかして、わたくしが恋焦がれる予定のルイ・エスポワール・ド・アルカディア王太子殿下では!?
これはチャンス。今日のお昼は予定が狂ってお会いできなかったけど、あれはきっと、今お会いすることが決まっていたからああいうお導きになったのだわ!
それならこうしてはいられない。
「エリス様、わたくしたちも行ってみましょう!」
「えっ、フルール様!?いや、でも…」
戸惑うエリス様を連れ、わたくしはその人だかりに突撃する。と言っても、わたくしがちょっと扇子で口元を隠しながら「ごめんあそばせ」と言えば人々は皆道を開けてくれるため、実際にはとても優雅に進めるのだが。
まだわたくしが誰だかわかっていない方も多いはずなのに前回と同じように自然と道が開くのは、ひとえにわたくしの美貌と高貴なオーラのおかげだろう。その証拠に、男子生徒も女子生徒もこの美貌に見惚れ、自然と首を垂れている。
誰ともわからぬ人に首を下げさせるって、わたくし凄いわね。さすがモカ。扇子の威力、なんて…!(2回目)
で、人だかりを抜けるとそこには王太子がいらっしゃるとばかり思っていたのだが…、
「お兄様?」
「やあ、フルール。おかえり」
そこには王太子ではなく、玄関の扉に寄りかかっているお兄様がいらっしゃった。
王太子じゃなくてすみません…。
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