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 聖女はわたくしの敵。徹底的に潰さなければならない存在。わたくしは、そう認識していた。


 だが、ちょっと視点を変えて考えてみてほしい。この聖女、なんだかとってもわたくしに好印象を抱いている様子。なぜこんなに好印象なのかは謎だけれど、本人の言うとおりわたくしの美しさが一役買っているのであろう。


 外見だけしか取り柄のないわたくしだけれど、外見だけは一級品なのよ。お兄様と同じ血を引いていることに感謝するのはこういう時ね!


 それで、何故だかわからないけれど、一年先に入学するはずの聖女がここにいる。それも、平民のまま。


 平民のままここにいるということは、つまり───……、


「もしかして、エリス様が噂の聖女様なのかしら?」

「えっ…な、なぜそれを…」

「ふふ、実は兄が、聖女様がいらっしゃるらしいと仰っていましたの。それで、貴女は平民だと仰りますでしょう?この学園は平民が気軽に入れるところではございませんし、もしかしたらと思いまして」

「まあ、ラスボ…いえ、ロサノワール公爵閣下がですか」


 嘘です全くそんなことは仰っていませんでした。


 驚いたように目を見開く聖女。口元を手で覆って誤魔化しているが…今ラスボスって言いかけなかったかしら。全くもってその通りだわ。聖女、ナイスなネーミングセンスね。やはり聖女にも逆行前の記憶があるに違いない。


 素敵なあだ名を教えてもらったお礼として、ちょっとわたくしが庇ってあげましょう。わたくしは、わたくしを三割増しで高貴に見せてくれるとモカから渡された必須アイテム・扇子で口元を隠す。


「ええ、そうですの。エリス様も、聖女様と言うことは王家の方と近しいでしょうから、きっと、わたくしのことはそちらからお知りになられたのではなくて?」

「そ…そうなんです!さすがロサノワール公爵令嬢様、見事なご碧眼です…!」

「おほほほほ。これくらい、どなた様でも考え付くようなことですわ」


 聖女は本当に尊敬しているらしく、キラキラとした表情でわたくしを見つめている。


 …うん、悪くない。悪くないわ。この聖女、とってもいい子じゃない!そしてモカ、貴女の助言はいつも的確ね。扇子の偉力、なんて恐ろしいのかしら…!


 決めたわ。聖女のことは、徹底的に潰すしかないと思っていたけれど、こんなにわたくしのことを好きでいてくれるのならそれは勿体ない。寧ろ、これは絶好のチャンスなのでは?


 つまりだ。前回はある意味最大の敵となった聖女だけど、視点を変えて考えると、あら不思議、味方に回せば絶対にわたくしを脅かさない存在になるのでは?寧ろ、味方に回せば回すほどわたくしから王太子を奪うなんてことにはならないのでは?


 しかも、彼女は聖女だ。女神の生まれ変わりである聖女が認める人物は、ある意味王太子妃としてこれ以上ないくらい相応しいという証拠及び宣伝になると考えられる。


 …よし、決めた。わたくし、


「あ、あの!ロサノワール公爵令嬢様!こんなことを申し上げるのは、とっても、とっても恐れ多いことなのですが…!よ、よろしければ私と、お友達になってくださいませんか…?!」


 …あら?


「とっても偶然ね。わたくしも今、まさに同じことを言おうとしておりましたの。こちらこそ、どうぞお友達になってくださいませ。そして、どうかわたくしのことはフルールと。よろしくね、エリス様」

「は、はい…!フルール様!どうぞ、どうぞよろしくお願いします!」


 友達になろうと申し出ようとしたら、なんと聖女の方から…いえ、聖女なんて失礼ね。お友達なのだから、エリス様と言わなければ。エリス様の方からお友達になろうと申し出てくれた。わたくしたち、気が合うわね。


 お近づきの印にとエリス様の手を両手で握れば、エリス様のお顔は真っ赤になった。平民だからかしら、綺麗なその手は少しかさついていた。


「…ふふ、わたくしの初めてのお友達ですわ」

「は、初めてのお友達…!私が、フルール様の、初めて…!ふ、フルール様…!」

「…?エリス様…?」


 わたくしの白魚のような手に感動でもしたのか、フルール様はぎゅっとわたくしの手を両手で握り返した。心なしか鼻息が荒く、目がギラギラと輝いている。


「フルール様。私が絶対に、何がなんでも、フルール様を幸せにします!だって私の聖女の力は、そのためにあると思うんです。だからフルール様、全力で私を、エリスを頼ってくださいね!」

「まあ、エリス様…!」


 なんて、なんて心強いの…!わたくしのために、ここまで仰ってくれるなんて…!


「それでいずれは、フルール様との百合ENDを…」

「エリス様、今何か仰いまして?百合がどうとか…」

「あっ、いえ…フルール様のお家は黒薔薇が象徴だと思いますが、百合もお好きなのかな〜?と思いまして」

「百合?ええ、好きですわよ。素敵なお花ですわよね」

「!そうですよね!百合は素敵ですよね!」


 よくわからないが、エリス様はとても嬉しそうだ。目のギラギラも健在だが、それほどわたくしとお友達になれたのが嬉しかったのだろう。百合がお好きなようだし、今度百合の花でもプレゼントしてみようかしら?


 学園登校日初日。こうしてわたくしは、聖女というとんでもない強力な味方を手に入れたのだった。

フルールは聖女というとんでもない変態な味方を手に入れた…!

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