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義兄ではなく兄です。

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「ああ…っ」


 王宮が、屋敷が、王都が、森が、国が、燃えていく。私とお兄様だけを取り残したまま、跡形もなく赤黒い炎に飲み込まれていく。


 ──どうしてこうなってしまったのだろう?わたくしが、聖女に嫉妬してしまったから?もし嫉妬せずそのまま婚約者の座を渡していたら、今頃はいつもどおりの学園生活を送り、王国も炎に飲み込まれることなく無事だったの?


 考えても、冷静に物事を考えられない今のわたくしにはわからない。わかるのは、これがお兄様によって引き起こされたということ。そして生き残っているのは、わたくしとお兄様の二人だけだということ。


「…炎に照らされる君も綺麗だね、フルール。もっと早くにこうしていればよかった」

「……お兄様。なんで、どうして…」


 わたくしを抱き締めているお兄様。国を滅ぼしたというのに、そこには罪悪感は一切なく、むしろ喜びすら感じているように恍惚とした表情で微笑んでいる。


 ──どうして、そんなに嬉しそうなの?王国中の人々を燃やしているというのに…。


 わたくしはお兄様とは対照的に、ただただ悲しくて、悔しくて、辛くて、涙が止まらない。そんなわたくしの涙を拭って、お兄様は囁いた。


「…私のフルール。これからはずっと、私といようね」


 意識が混濁する中最後に感じたのは、唇への柔らかい温もり。


 ……って、え!?待ってこれってキスじゃない!?え、お兄様ってわたくしのことをそういう…!?!?


 どういうことだと正座しあって問いただしたかったが、もう遅い。ただでさえ王国の滅亡という出来事にショックを受けていたところに更に爆弾を放たれたおかげで、わたくしの残念な頭のキャパは限界を迎えてしまった模様。


「…お、にい、さま。わたくし…」


 近親相姦は最大のタブーだと思いますの!

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