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渋谷の地下

街中にある巨大モニターには

昔のアニメが流れている。


何処か懐かしいような

それでも勇者が知っているものとは

少し違う。


おそらくここは

勇者が知っている日本とは異なる、

似ているが非なる世界。


そうなるとパラレルワールドの

日本ということになるのか。


そして、おそらくここの日本は

死滅してから数十年以上は経過している、

そが勇者の推察でもあった。


それ程までに、この世界は荒れ果て

植物が瓦礫の山に侵食している。


-


先程の歌声の原因が

ここ渋谷にあると踏んで

さらに調査を進める勇者、

自動車やロボットに見つからないように。


まるで蟻のように

行き来しているロボットの動きを見る限り、

何処かに拠点のような場所があって、

あいつ等はそこから出入りしているのではないか、

そう考えた勇者。


ロボットの後を尾行し

渋谷駅の地下へと繋がる

階段の出入り口、

そこから地下へと降りて行く。


地下への出入り口は大半が

瓦礫で埋まってしまっていたのだが、

まだ塞がれていない箇所が

存在していたのだ。



地上には車が走っていたが

ここでも地下鉄が走っている、

やはり人が誰一人乗っていない

無人の電車。


煌々とライトを着け

うるさい音を轟かせながら

ホームに居る勇者の横を

風圧と共に猛スピードで

通り過ぎて行く地下鉄。


『さすがにここでは襲われないか』


普段は

ロボットが他のエリアに移動する際に

利用されているのかもしれないが、

やはり車両には誰も乗っていない

無人の地下鉄。


人間が死に絶えたと言うのに

街だけがまるで人間が居た頃と同様に

生きているかのようでもある。


-


さらに地下深くへと潜って行く勇者、

こうなるともう

異世界にある地下ダンジョンを

攻略しているような気分になって来る、

モンスターが出現しないだけ

遥かに気分的に楽ではあるが。


勇者は探索の末、

明らかに日常生活空間で利用するものとは異なる、

隠された地下施設に繋がる階段を見つける。


『地下シェルターか何かか?』



薄暗い空間にモニターから

発せられる青白い光が多数。


そこまで辿り着くと

突如空中に

巨大なホログラムが映し出された。


それは巨大なホログラムの

巨大な美少女、

緑色の長い髪をツインテールにして、

碧の大きな目をクリクリさせる、

常人とは思えないスタイルと風貌。


「……は、初音ミク?」


確かに勇者が居た日本の

バーチャルアイドル初音ミクに

そっくりではあるがやはり少し違う、

ここがパラレルワールドだからだろう。


「ようこそ、人間の方」


目の前に見えるバーチャルアイドルは

勇者に向かって話し掛けた。


『こいつ人と喋ることが出来るのか?』


「驚かせてしまってごめんなさいね、

みんな人間の人に会うのは

百年以上ぶりなので、

嬉しくてついつい

近づき過ぎてしまったようで」


おそらくみんなと言うのは

地上の車やロボットのことだろう。


『ここは人間が滅んでから、

既に百年以上が経っているのか……』


勇者の前にホログラムで姿を現した

バーチャルアイドルは

この世界のことを語って聞かせるのだった。







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